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新国立劇場 オペラ「ラ・ボエーム」 [オペラぁ!]


新国立劇場 オペラ「ラ・ボエーム」




新国立劇場での「ラ・ボエーム」は、
たしか2003年、2004年に続いての3回目公演だと思います。
5年前の初演時に一度観ましたが、
粟國淳さんの オーソドックスな演出で、
深く印象に残っているところはないように思っていました。

そして観ていても、
「あれ!こんな舞台だったっけ?」
と思うところがたびたびあったのですが、
その街を構成する建物などの装置が、
ストーリーの進行に伴って移動してシーンが展開していき、
その装置が落ち着くと、
「あぁ、そういえばこんなのだった!」
と記憶がよみがえってくる感じでした。
動く装置の印象はありませんでしたが、
街の広がりや奥行きが上手く演出されていて、
カルチェラタンの喧騒がしっかりと表現されていました。

ルドルフォ役の佐野成宏さんは普通に(とても)良かったです、
と言うのは、去年1月藤原歌劇団の公演↓がちょっとビミョーだったので。
http://blog.so-net.ne.jp/turlinco/2007-01-28
塩田美奈子さんのムゼッタも良かったです。
第2幕の最後、全編の山場、
ムゼッタがカフェ・モミュスの支払いを、
アルチンドロに押し付けるところのムゼッタが歌う短いフレーズは、
明快なメロディーと共に、
若者ビンボー同盟の喜びを祝うシーンですが、
実にさりげなく歌ってくれました。

そして佳境へ。
どうやっても盛り上がるところですがこの演出では、
アルチンドロのおどけた仕草とストップモーションで終わりでした。
もうひと工夫欲しかった所です。


新国立劇場では、
今年から終演に合わせた渋谷行きのバスが中止になったそうです。
車両は普通の路線バスでしたが、
薄暗く青白い光のなかでプログラムに見入る女性や
興奮冷めやらぬ舞台の感想をおしゃべりしあう夫人達、
オペラ談義を得意になって連れ合いに話すオジサンから、
早々に着替えを終えてさっさと乗り込んでいるオケの人まで、
取合えず短からぬ時間を共にした人達と、
密室に近い場所で過ごす妙な余韻の時間だったのですが、
電車だと、
明るい駅のホームへ出たとたんにいきなり現実に放り出された感じで、
何とも白けた感じになってしまいます。
「諸般の事情によって」中止されたそうですが、
客の事情を第一に考えるのが興行者の務めではないのでしょうか。


2008年1月24日 新国立劇場 オペラ「ラ・ボエーム」

【指 揮】マウリツィオ・バルバチーニ (Maurizio Barbacini)
【演 出】粟國 淳 (Aguni Jun)
【美 術】パスクアーレ・グロッシ (Pasquale Grossi)
【衣 裳】アレッサンドロ・チャンマルーギ (Alessandro Ciammarughi)
【照 明】笠原 俊幸 (Kasahara Toshiyuki)

CAST
【ミミ】マリア・バーヨ (María Bayo)
【ロドルフォ】佐野 成宏 (Sano Shigehiro)
【マルチェッロ】ドメニコ・バルザーニ (Domenico Balzani)
【ムゼッタ】塩田 美奈子 (Shioda Minako)
【ショナール】宮本益光 (Miyamoto Masumitsu )
【コッリーネ】妻屋 秀和 (Tsumaya Hidekazu)
【べノア】鹿野 由之 (Shikano Yoshiyuki)
【アルチンドロ】初鹿野 剛 (Hatsukano Takeshi)
【パルピニョール】倉石 真 (Kuraishi Makoto)

【合 唱】新国立劇場合唱団 (New National Theatre Chorus)
【管弦楽】東京交響楽団 (Tokyo Symphony Orchestra)


タグ:プッチーニ
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TaekoLovesParis

「そうだった」と思い出しながら、楽しく読みました。
バスは方角が違うので、乗ったことがなかったけれど、オケの人まで乗る余韻の楽しめるバスだったんですね。タクシーが奪いあいになりそうですね。駐車場も「割引があります」とアナウンスするわりには、割引がほんの少し。時間が長いから結構な金額になっちゃうんですよ。
by TaekoLovesParis (2008-01-27 13:14) 

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