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二期会 オペラ「オテロ」 [オペラぁ!]

otello_thumb.jpg昨年10月の新国立劇場公演につづき、
二期会の「オテロ」公演。
ヴェルディの名作中の名作ですが、
そんなに上演機会は多くありません。
理由は、
シェークスピア原作の心理劇を、
演技力、歌唱力、容姿等で、
緊張感溢れる表現が求められる、
オテロ、イアーゴ、デズデモナの役を、
なかなか歌いこなせる人がいないからでしょう。

そんな演目を日本人だけで舞台に乗せた二期会公演、
現代演劇界の気鋭と言われる白井晃の演出は、
モノトーンのシンプルな装置で登場人物の演技に視線を集中させます。
舞台の上に浮かせた黒い方形のうねった床が、
奥に行くほど狭く、そしてせり上がっているので、
妙な遠近感と立体感があります。
幕開け、黒幕を落とすと突如表れる合唱団の群れも浮遊感を狙った演出。
床は全4幕を通して設けられており、
それ以外の大きな装置は、上から下りて来る半透明のパネルのみで、
ぼんやりと暗くて沈んだイメージです。
暗いステージに赤い布だけが唯一の色彩として印象的に使われていますが、
黒いイアーゴの陰謀に包まれた舞台で、
その赤は嫉妬と怒りに狂うオテロの感情を表現しているのでしょうか。

シンプルで抽象的な舞台は否定しませんが、
ストイックな絞りすぎた演出がキャストに過度な負担となって、
結果、舞台に余裕がなく物足りない感じがしたのは否めません。

その反面、
東京都交響楽団を指揮するロベルト・リッツィ=ブリニョーリは、
オテロのドラマに緩急を付けて演出、
ヴェルディの雄々しい音楽と美しい旋律を巧みに引き出し、
改めて曲の素晴らしさを再認識しました。
その音楽によって支えられた3時間だったとも感じました。


2010年2月17日 二期会 オペラ「オテロ」

台本:アリゴ・ボーイト(原作:ウィリアム・シェークスピア「オセロー」)
作曲:ジュゼッペ・ヴェルディ
会場:東京文化会館

スタッフ
指揮: ロベルト・リッツィ=ブリニョーリ
演出: 白井 晃 装置: 松井るみ
衣裳: 前田文子
照明: 齋藤茂男   
合唱指揮: 佐藤 宏   
舞台監督: 八木清市
公演監督: 近藤政伸

キャスト
ムーア人でヴェネツィアの将軍オテロ:福井敬
オテロの妻デズデモナ:大山亜紀子
オテロの部下で旗手のイアーゴ:大島幾雄
イアーゴの妻エミーリア:金子美香
副官カッシオ:小原啓楼
ヴェネツィアの貴族ロデリーゴ:松村英行
ヴェネツィア共和国の大使ロドヴィーコ:小鉄和広
オテロの前任者で先のキプロス島総督モンターノ:村林徹也
伝令:須山智文

合唱: 二期会合唱団
管弦楽: 東京都交響楽団


タグ:ヴェルディ
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