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新国立劇場 オペラ「ルサルカ」 [オペラぁ!]

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交響曲第9番「新世界より」で有名なドヴォルザーク作曲のオペラ「ルサルカ」
日本ではほとんど上演機会がありませんが、
森の湖水が舞台で、おとぎ話が流れるような美しい音楽で彩られた作品。
地元チェコのプラハでは、度々取り上げられる名作として知られています。

新国立劇場の「ルサルカ」は、
2009年のオスロのノルウェー国立オペラのプロダクションでポール・カランの演出。
元ダンサーとは思えない繊細な美的感覚で、
森のイリュージョンを見事に演出していました。

序曲と同時に幕が開き、
月夜に照らされた山小屋には少女と父親らしき人物。
少女は人形を手に人間の世界と王子さまに憧れを抱き、
鏡に映った自分の姿が現実を離れて物語の中に入り込んで行くような演出。

山小屋が奈落に沈むと湖を囲う森の舞台が奥からせり出し、
ダイナミックな転回で聴衆を圧倒します。
せり出した舞台、オーロラのようにうねった壁には樹木が描かれ、
所どころに、俗界へつながるかのようなドアが付いています。
中央は艶のある青い床、照明の加減で幻想的空間を演出します。

その後、装置の大きな展開はなく、
同じ舞台が森だったり、お城だったりしますが全く違和感がありません。
ベッドや晩餐テーブル等と照明で状況描写する手法には、
安易な小手先の転回演出にはない知的センスを感じます。

表題役のルサルカはロシアのオルガ・グリャコヴァ。
今年6月には蝶々夫人を歌いましたが、
その時には気付かなかった圧倒的な声量に驚きました。
しかも歌い続けで。
オペラ歌手が自分の声と引き換えに王子様にめぐり会うストーリーは、
歌手の喉休めちょうどいいみたいですが、
声のないルサルカの演技はちょっと難儀そうでした。
その他、3人の森の精のアンサンブルはとても美しく響きました。

ヤロスラフ・キズリングの慣れた指揮による演奏も、
緩急がついて、じっくり聴かせるところは聴かせ、間を越えた無音状態もあり、
鳴らす時には隣席の人が「何度も飛び起きる」という感じでした。


2011年11月29日 新国立劇場 オペラ「ルサルカ」
Antonín Dvořák : Rusalka
アントニーン・ドヴォルザーク/全3幕

スタッフ
【指揮】ヤロスラフ・キズリンク (Jaroslav Kyzlink)
【演出】ポール・カラン (Paul Curran)
【美術・衣裳】ケヴィン・ナイト (Kevin Knight)
【照明】デイヴィッド・ジャック (David Jacques)

キャスト
【ルサルカ】オルガ・グリャコヴァ (Olga Guryakova)
【イェジババ(魔法使い)】ビルギット・レンメルト (Birgit Remmert)
【王子】ペーター・ベルガー (Peter Berger)
【ヴォドニク(水の精)】ミッシャ・シェロミアンスキー (Mischa Shelomianski)
【外国の公女】ブリギッテ・ピンター (Brigitte Pinter)
【森番】井ノ上了吏 (Inoue Ryoji)
【料理人の少年】加納悦子 (Kanoh Etsuko)
【第一の森の精】安藤赴美子 (Ando Fumiko)
【第二の森の精】池田香織 (Ikeda Kaori)
【第三の森の精】清水華澄 (Shimizu Kasumi)
【狩人】照屋 睦 (Teruya Mutsumi)

【合 唱】新国立劇場合唱団 (New National Theatre Chorus)
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団 (Tokyo Philharmonic Orchestra)


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