SSブログ

新国立劇場オペラ研修所  オペラ「スペインの時」「フィレンツェの悲劇」 [オペラぁ!]

esp.jpg新国立劇場オペラ研修所のオペラ公演。
毎年、簡素な舞台ながら、
機転の効いた演出と若い出演者の、
渾身のステージを楽しみにしています。
昨年は2日目が東日本大震災で、
その日以降上演中止になったようなので、
ストレスが溜まっていた出演者も、
居たのではないでしょうか。
昨年初日の公演レビューはこちら↓
2011-03-13

今年は渋い演目の選択で、
指揮者に日本を代表する指揮者のひとり、
飯守泰次郎を迎え、
緊張感のある舞台となりました。

演出は去年までのデイヴィッド・エドワーズから三浦安浩に交代。
2演目の物語の共通点になっている古い街の市井の日常に着目し、
それぞれの冒頭に黙劇のプロローグを挿入。
舞台の中心となる広場に両演目の登場人物が交錯して、
2つの物語を関連付けます。

「フィレンツェの悲劇」は2005年には東京二期会が上演した演目。
オスカー・ワイルド原作の退廃不倫劇を、
アレクサンダー・ツェムリンスキーがシュトラウス的交響詩に仕上げた前衛的音楽。
登場人物は織物商夫婦とその客人のみで、
3人のやりとりがエロエロな演技を伴って進行していきます。
声量も含めなかなか若さが武器にしづらい舞台でしたが、
堂々と難しい演目をこなしました。

一方「スペイン時間」は「ボレロ」「展覧会の絵」で有名なモーリス・ラヴェルの作品、
今年5月には今回と同じこの中劇場で東京二期会が上演予定です。
浮気性の時計屋の妻をめぐるドタバタ劇で、
人が入った柱時計をロバ曳きが持ち上げるなど、
マジックショーまがいの演出もあって聴衆を楽しませます。
こちらも1人の女性と取り巻きの男4人の掛け合いで進行しますが、
その女コンセプシオン役の吉田和夏がとてもいい。
爽やかな身のこなしで表情も豊か、
フランス語の発声も美しく華やかさもあります。
男を誘う妖艶な魅力とまでは言えませんが、
舞台上の男と、客席の男性たちも虜にしていたようでした。

そして新国立劇場演劇研修所の助演はおとなし目。
舞台袖の石像が動き出した時には本当にびっくりしました、
像の正面最前列で観ていたのですが、おとなし過ぎ!

2011年の公演レビューはこちら↓
http://turlinco.blog.so-net.ne.jp/2011-03-13


2012年3月9日 新国立劇場オペラ研修所  オペラ「スペインの時」「フィレンツェの悲劇」
New National Theatre Opera Studio
モーリス・ラヴェル Maurice Ravel: L’Heure espagnole
アレクサンダー・ツェムリンスキー Alexander Zemlinsky: Eine florentinishe Tragödie

スタッフ
『スペインの時』
【作曲】モーリス・ラヴェル
【台本】フラン・ノアン
『フィレンツェの悲劇』
【作曲・台本】アレクサンダー・ツェムリンスキー
【指揮】飯守泰次郎
【演出】三浦安浩
【振付】伊藤範子
【美術】鈴木俊朗
【照明】稲葉直人
【衣裳コーディネーター】加藤寿子
【舞台監督】山田ゆか
【管弦楽】東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

キャスト
『スペインの時』
【コンセプシオン】吉田和夏
【ゴンザルヴェ】糸賀修平
【トルケマダ】村上公太
【ラミーロ】西村圭市
【ドン・イニーゴ・ゴメス】後藤春馬
【キューピット(黙役)】倉本絵里
【少年(黙役)】林よう子

『フィレンツェの悲劇』
【グィード】伊藤達人
【シモーネ】山田大智
【ビアンカ】柴田紗貴子

nice!(4)  コメント(1)  トラックバック(2) 
共通テーマ:音楽

nice! 4

コメント 1

dezire

こんにちは。
新国立劇場のオペラ研修所の公演の、オペラ「スペインの時」「フィレンツェの悲劇」は鑑賞したことがない作品なので、行きたかったのですが予定があり行けませんでした。
どんな公演だったか興味があったので、レポートを読ませていただけて、うれしかったです。
ありがとうございました。
by dezire (2012-03-22 10:15) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 2