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東京二期会 オペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ/パリアッチ」 [オペラぁ!]

cava_pagli2012_thumb.jpg東京二期会の「カヴァレリア・ルスティカーナ」「パリアッチ」
さして期待もせず、チケットだけは取ってあったこの公演。
マンネリの海外旅行ツアーのパンフレットのような、
ちらし(←)を見ても、全く興味が湧きませんでしたが、
会場に入った途端、これは何だか面白そうな予感!
幕が上がったステージは、
全面がイタリアの大理石を模した白とグレーの縞模様に包まれ、
庶民の生活を象徴するような椅子があたりに散乱しています。
オーケストラのチューニングと前後して、
子ども達が椅子を片付けはじめ準備完了、
指揮者が登場して音楽がはじまります。

ミニマルな抽象演出は、どちらかというとミュージカル的、
シンプルな装置に細かく演技のついた群集の動きで見せ場を作ります。
冒頭、教会前の広場に村人が集うシーンは、
絨毯の両側に沢山の椅子を並べて教会での結婚式の場面に置き換えられますが、
その後も椅子を丸やコの字型に並べたりし、照明と効果と合わせて、
随所で印象的なシーンを演出します。
そんなスタイリッシュな演出を手掛けたのは若手日本人の田尾下哲。
新国立劇場で数多くの演出補を務めて実力を上げてきたようですが、
こんな日本人の演出家がいるとは知りませんでした。
椅子などの小道具を出演者全員に持たせて舞台を展開させる手法は、
凝った装置以上に聴衆をうならせるもので、
名演出家のロバート・カーセンを思わせる知的さも感じます。

後半の演目は「パリアッチ」。
同じ舞台にセットされたテレビスタジオ風ステージは取って付けたようで、
演出家も前半に力を注ぎすぎて息切れか?と思っていたら、
こちらもなかなか!
旅芝居集団が村にやってくるシーンは、
なんと飛行機のタラップから降りてくる設定で笑えます。
おまけに熱狂する村人が柵の手前で警備に押さえられるという凝ったもの。
そしてこちらでも椅子の演出。
仮設の雛壇に今度は黄色く塗られた椅子を並べていきます。
芝居の当日は満員で椅子が足りなくなって補充するという細部もあり、
テレビの撮影という設定なので、
ディレクターが白いカンペを出して観客に笑いの指示したりします。
そして名場面「衣装をつけろ」では、
熱狂する観客の大げさな動作がスローモーションで表現され、
シーンを印象的に演出、
歌手陣は若手中心でちょっと声量不足、役不足の感じもしましたが、
大いに楽しめる舞台でした。

指揮はパオロ・カリニャーニ。
日本でオペラ指揮は初めてというイタリア・マエストロで、
イタリア人によるイタリアオペラの情熱的指揮をイメージしていましたが、
意外に抑制の効いたしっとりめの音楽でした。

無題.jpg



2012年7月13日 東京二期会 オペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」「パリアッチ(道化師)」

会場 : 東京文化会館

≪カヴァレリア・ルスティカーナ≫
原作:ジョヴァンニ・ヴェルガ
台本:ジョヴァンニ・タルジョーニ=トッツェッティおよびグィド・メナッシ
作曲:ピエトロ・マスカーニ
≪パリアッチ(道化師)≫
台本・作曲:ルッジェーロ・レオンカヴァッロ

スタッフ
指揮 : パオロ・カリニャーニ
演出:田尾下 哲
装置:幹子 S.マックアダムス
衣裳:小栗菜代子
照明:沢田祐二
合唱指揮:佐藤 宏
演出助手:家田 淳
監督:村田健輔
公演監督:多田羅迪夫

キャスト
≪カヴァレリア・ルスティカーナ≫
サントゥッツァ : 大山亜紀子
トゥリッドゥ : 岡田尚之
ルチア : 栗林朋子
アルフィオ : 小川裕二
ローラ : 富岡明子

≪パリアッチ(道化師)≫
カニオ : 大野徹也
ネッダ : 嘉目真木子
トニオ : 桝貴志
ベッペ : 小原啓楼
シルヴィオ :  塩入功司

合唱 : 二期会合唱団
管弦楽 : 東京フィルハーモニー交響楽団


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