ヴェネツィアのオペラ「ラ・トラヴィアータ」 [2014年ヴェネチア]
ヴェネチアのフェニーチェ歌劇場は、
1792年に開場した劇場で、ミラノスカラ座に次ぐイタリア歌劇場の殿堂。
1996年の火災による全焼の後、
2004年に同劇場で1853年に初演されたトラヴィアータ(椿姫)で再開場されました。
その時のプロダクションが今回のロバート・カーセンによる、
金にまみれる現代社会を風刺した読み替え演出、
DVDにもなっていて日本での来日公演も果たしています。
1792年に開場した劇場で、ミラノスカラ座に次ぐイタリア歌劇場の殿堂。
1996年の火災による全焼の後、
2004年に同劇場で1853年に初演されたトラヴィアータ(椿姫)で再開場されました。
その時のプロダクションが今回のロバート・カーセンによる、
金にまみれる現代社会を風刺した読み替え演出、
DVDにもなっていて日本での来日公演も果たしています。
劇場外観は街並みに馴染んでこじんまりしていて、
前の小さな広場には開場を待つ着飾った人達が集まって来ています。
建物側面の路地には入り口方向を示す絵も!
また裏側は運河に面していて、
道具の搬出入には水路を利用しているよう。
考えてみれば車が入れないヴェネチア、
入り組んだ路地と運河の真っただ中にある劇場に、
世界でも屈指の舞台を作り上げる技術と能力に関心します。
通常夏はオペラのオフシーズンとなりますが、
ヴェネチアではビエンナーレの一部として上演されているようです。
更に、
ヴェネチア映画祭の期間とも重なっていたので、
超有名人に出会えるかと期待しましたが見掛けませんでした。
イタリアで一番豪華だと聞いていましたが、
やはりミラノ・スカラ座の方が各上の感じです。
座席はほぼ舞台正面のガレリア、4階のボックス席でしたが、
全1500席と小さ目の劇場で舞台を近くに感じる親密なホールです。
さて、ロバート・カーセンの演出ですが、
テーマのはっきりした説得力のある読み替えと、
簡素な舞台に効果的な照明による作品作りが持ち味ですが、
今回は、
主人公の娼婦ヴィオレッタに恋する青年アルフレードはカメラマン。
遠くから肖像を撮り続けて想いを表します。
第2幕、パリ郊外で蜜月を過ごす住まいは樹立の中。
床一面の枯葉に見えるのは紙幣、頭上からも降ってきます。
歩く度にわさわさと立てる音が、
金に支配されている現代社会を風刺します。
この紙幣、
幕間の照明室の楽譜に挟んであるのが見えましたが、
大き目のドル紙幣のデザインでヴェルディの肖像に刻まれた数字は1でした。
終幕の主人公自宅も、この演出では第2幕と同じ。
床一面の紙幣は消えてあるのは映らないテレビのみ、
背景の樹立も実は壁紙で内装業者が剥がしにかかって、
束の間も蜜月のはかなさが際立ちます。
ソプラノのパトリツィア・チョーフィが歌う主人公ヴィオレッタは、
新国立劇場の別演出で感動した記憶がありますが、
更に妖艶な魅力をたたえ、
カーテンコールでも一番の喝采を浴びていました。
指揮のダニエレ・ルスティオーニは、
若くて元気のある指揮を期待していましたが、
落ち着いたゆったりとしたテンポでカラリとしたオーケストラを舞台に溶け込ませ、
違った一面を見せられた感じでした。
ボックス席の2列目での鑑賞でしたが、
1列目は地元の常連風男性2人組、
幕が開くと両側に寄って後席への配慮を示して紳士的。
第1幕の幕切れで主人公たちが結ばれるシーンでは、
一人がすっと手を出し、もう一人がさっと応えるという場外一幕が!
幕の内外でいろんな愛の形を見せつけられました。
終演は夜11時頃、
路地に散っていく人たちや、
名残惜しそうに広場にたむろする人たち。
多くの人たちが「興奮さめやらぬ!」といった感じでした。
2014年8月30日 フェニーチェ歌劇場 オペラ「ラ・トラヴィアータ」
ガレリア席77ユーロ(約11,000円)
VERDI "LA TRAVIATA"
Venezia: Teatro La Fenice
cast
Violetta Valery : Patrizia Ciofi(パトリツィア・チョーフィ)
Alfredo Germont : Shalva Mukeria (シャルヴァ・ムケリア)
Giorgio Germont : Simone Piazzola(シモーネ・ピアッツォーラ)
Flora Bervoix : Elisabetta Martorana(エリザベッタ・マルトラーナ)
Annina : Sabrina Vianello(サブリナ・ビアネッロ)
Gastone : Iorio Zennaro(イオリオ・ゼンナーロ)
Il barone Douphol : Armando Gabba(アルマンド・ガッバ)
Il dottor Grenvil : Mattia Denti(マッティア・デンティ)
Il marchese d’Obigny : Matteo Ferrara(マッテオ・フェッラーラ)
staff
staff
Conductor :Daniele Rustioni(ダニエレ・ルスティオーニ)
Director : Robert Carsen(ロバート・カーセン)
Director : Robert Carsen(ロバート・カーセン)
Sets & Costumes : Patrick Kinmonth(パトリック・キンモンス)
Choreographer : Philippe Giraudeau(フィリップ・ジロドゥ)
Light designer : Robert Carsen and Peter Van Praet(ピーター・ヴァン・プラート)
La Fenice Opera House Chorus and Orchestra(フェニーチ歌劇場合唱団・管弦楽団)
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