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藤原歌劇団 オペラ「ファルスタッフ」 [オペラぁ!]

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藤原歌劇団の「ファルスタッフ」公演、演出は粟國淳。

その舞台は、
古い材木の骨組だけで作ったような3枚の壁に囲まれた中央にある、
古板を並べただけの床が主人公ファルフタッフ行きつけの飲み屋。
脇には足場板を並べたような階段が上段のフロアへつながっています。
全体にくすんだトーンの簡素な舞台ですが、
アレッサンドロ・チャンマルーギの派手な衣装が際立ちます。
中東風ともボヘミアンともモンゴル風とも言えそうな、
装飾のある衣装や素材感のある布を何枚も重ねたり凝ったかぶり物等、
登場人物がそれぞれ違った個性の衣装で仕立てられています。

そもそのこのオペラはヴェルディ最後の作品で、
これまでの美しい旋律を独唱で聞かせるタイプではなく。
演劇的物語の掛け合いをアンサンブルで進めていくスタイルなので、
混じり合う登場人物の位置付けが大切、
色味のない背景に人の個性がはっきり表れる舞台になっています。

そして演技でもその卓越した個性を発揮したのはやはり主人公。
ファルスタッフ役を歌ったのはバリトンの牧野正人、
詰め物で丸々と太った体を難儀そうにがに股で操り、
堂々とした歌唱で貫禄も十分です。
カーテンコールでも飛び出した腹を叩きながらの挨拶で、
最後まで役に成りきり、聴衆の喝采と笑いをさそっていました。

女声で特に目を引いたのは、
ファルフタッフがお金目当てで近づく女性の娘ナンネッタ役の光岡暁恵。
年寄の化かし合いをよそに、若く純粋な恋心を抱く役柄は、
ギラギラした大人の欲望の世界を風刺しているようでもあり、
その澄んだソプラノの伸びやかな風のような歌声が、
すがすがしく響きました。

東京フィルハーモニー交響楽団を指揮したアルベルト・ゼッダは、
藤原歌劇団では毎年1度は指揮していますが、
歳を感じさせないしっかりした指揮で、
難しいアンサンブルも流れるように聴かせました。


2015年1月24日 藤原歌劇団 オペラ「ファルスタッフ」

会場:東京文化会館
総監督:岡山廣幸
指揮:アルベルト・ゼッダ
演出:粟國淳
美術:横田あつみ
衣装:アレッサンドロ・チャンマルーギ
照明:笠原敏幸

出演 
ファルスタッフ : 牧野正人 
フォード : 堀内康雄 
フェントン : 小山陽二郎  
アリーチェ : 大貫裕子  
ナンネッタ : 光岡暁恵 
クイックリー夫人 : 森山京子 
メグ・ページ夫人 : 向野由美子  
カイウス:  川久保博史 
バルドルフォ : 岡坂弘毅 
ピストーラ : 伊藤貴之

合唱指揮:須藤桂司
合唱:藤原歌劇団合唱部
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
主催:公益財団法人日本オペラ振興会
    公益社団法人日本演奏連盟

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