新国立劇場 オペラ「椿姫」 [オペラぁ!]
新国立劇場の「椿姫」はヴァンサン・ブサールの演出による新制作。
たっぷりとした黒基調の大空間に壁面ガラスを駆使して、
更に広く奥行きと深みのある舞台づくりをしています。
全幕を通して大空間にピアノが据えられ、
カードゲームのテーブルになったり、終幕ではベッド代わりになったりして、
物語のテーマでもある「死」を象徴しているとの事でしたが、
言われなければ分かりません。
「死」をテーマにした演出では、
まず序曲で主人公の墓碑銘がスクリーンいっぱいに映し出されます。
終幕では紗幕で区切られたこちらがピアノと瀕死の主人公で死の世界、
紗幕の向こうは死に際に駆けつけた愛する男とその父親の生の世界。
手を伸ばしても触れる事が出来ず、後悔と無念の情感が際立ちます。
演出家自ら手掛けた衣装は物語の時代設定通り19世紀半ばの様式で、
総勢の群衆に全て違う衣装にするという凝りよう、直近で観たくなります。
当時の裏社交界の中心となる場所のひとつが劇場のホワイエという事で、
舞台はパリのガルニエ宮のホワイエをイメージしたそうですが、
こちらも言われなかれば分からないポイントですが、
スルーしてもそれなりに観られます。
主人公のヴィオレッタを歌ったのはスロベニアのソプラノでベルナルダ・ボブロ。
繊細な高音がはかなげで美しく響きます。
相手役のアルフレードはイタリアのアントニオ・ポーリ、甘いテノールで応えます。
アルフレードの父ジェルモン役はメキシコ生まれのアルフレード・ダサ、
クセのある低音がなかなか憎めない役柄を引き出し、終幕を盛り上げます。
新国立劇場の前プロダクションはオーソドックスな演出で、
早く新演出にならないかと思っていましたが、
なったらなったで、また他のものを観たくなります。
「椿姫」などの上演回数の多いプロダクションは、
何度観ても楽しめる演出がいいですね。
2015年5月19日 新国立劇場 オペラ「椿姫」
アルフレードの父ジェルモン役はメキシコ生まれのアルフレード・ダサ、
クセのある低音がなかなか憎めない役柄を引き出し、終幕を盛り上げます。
新国立劇場の前プロダクションはオーソドックスな演出で、
早く新演出にならないかと思っていましたが、
なったらなったで、また他のものを観たくなります。
「椿姫」などの上演回数の多いプロダクションは、
何度観ても楽しめる演出がいいですね。
2015年5月19日 新国立劇場 オペラ「椿姫」
La Traviata/Giuseppe Verdi
スタッフ
【指揮】イヴ・アベル(Yves ABEL)
【演出・衣裳】ヴァンサン・ブサール(Vincent BOUSSARD)
【美術】ヴァンサン・ルメール(Vincent LEMAIRE)
【照明】グイド・レヴィ(Guido LEVI)
【ムーブメントディレクター】ヘルゲ・レトーニャ(Helge Letonja)
【舞台監督】村田健輔
キャスト
【ヴィオレッタ】ベルナルダ・ボブロ(Bernarda BOBRO)
【アルフレード】アントニオ・ポーリ(Antonio POLI )
【ジェルモン】アルフレード・ダザ(Alfredo DAZA)
【フローラ】山下牧子
【ガストン子爵】小原啓楼
【ドゥフォール男爵】須藤慎吾
【ドビニー侯爵】北川辰彦
【医師グランヴィル】鹿野由之
【アンニーナ】与田朝子
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
タグ:ヴェルディ
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