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新国立劇場 オペラ「イェヌーファ」 [オペラぁ!]

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レオシュ・ヤナーチェク作曲のオペラ「イェヌーファ」は、
1904年にブルノ国民劇場で初演されています。

チェコの片田舎モラヴィアの閉鎖的村社会を背景にした悲劇。
主人公イェヌーファは従兄・弟の子を妊娠しているが結婚してもいらえない。
一方従兄・兄はイェヌーファに想いを寄せている。
イェヌーファは出産するが継母は世間体を気にして子供を冬の川へ捨ててしまう。
春、従兄・兄の気持ちが通じてイェヌーファと従兄・兄は結婚する事になるが、
結婚当日、川が氷解して子供の死体が見つかる。
全ては明らかになるが2人は未来へ向けて歩き出そうとする。
という、暗くて重たい話です。

舞台の演出はドイツのクリストフ・ロイ。
斬新なプロダクションを世に送り続けているベルリンオペラの製作と聞いて、
大いに期待していましたが、まさしく期待通りでした。

簡素かつ斬新、
詩情豊かで洗練された知的センスも感じます。
プロセニアムに横長の白い箱を置いただけの舞台、
それが左右に伸び縮みし、
背景は部屋の壁だったり田舎の風景だったりと、
多少抽象ぎみで大いに観客の想像力を刺激します。
白い箱のなかも、あるのは白いテーブルと椅子だけ、
登場人物も主役以外はモノトーンで彫刻的な感じです。
見方によっては、
巨人が舞台上から手を入れてマッチ箱を開けたり閉めたりしていて、
中でで小人が右往左往しているようにも見えます。
そして、間の取り方も絶妙、
ところどころに沈黙の間を設けて舞台に緊張感を与えています。
幕開けは、
指揮者登場の後オーケストラピットの照明も落ち場内は真っ暗に、
「演奏の前に何かあるな!」と思いましたが、
白い箱が現れると黙劇で、思案顔の継母があらわれ、
しばらく音のない舞台で観客を引きつけます。
劇中でもメリハリのあるヤナーチェクの音楽の間に、
間を設けて舞台を印象付けていました。

歌手は従兄・弟のシュテヴァ役以外は2012年のベルリン初演時の歌手だそうですが、
この異父兄弟、なかなか役柄がよく出ていました。
弟シュテヴァ役のジャンルカ・ザンピエーリはイタリア人のテロール、
酒に溺れ、女ぐせも悪いだらしない感じ。
兄ラツァ役のヴィル・ハルトマンはドイツ人テノール、
愚直な感じが力強い真っすぐな声からもよく伝わります。

東京交響楽団を指揮したのはチェコのトマーシュ・ハヌス。
詩情豊かな散文を音楽に乗せ、
民族音楽なども盛り込まれたヤナーチェクの世界を表現し、
舞台の間の取り方もピタリと合っていてました。


2016年3月2日 新国立劇場 オペラ「イエヌーファ」
Jenůfa Music by Leoš JANÁČEK

Staff
指揮:トマーシュ・ハヌス(Tomáš HANUS)
演出:クリストフ・ロイ(Christof LOY)
美術:ディルク・ベッカー(Dirk BECKER)
衣裳:ユディット・ヴァイラオホ(Judith WEIHRAUCH)
照明: ベルント・プルクラベク(Bernd PURKRABEK)
振付:トーマス・ヴィルヘルム(Thomas WILHELM)
演出補:エヴァ・マリア・アベライン(Eva-Maria ABELEIN)
演出通訳:鈴木 なお
舞台監督:斉藤 美穂

Cast
ブリヤ家の女主人:ハンナ・シュヴァルツ(Hanna SCHWARZ)
ラツァ・クレメニュ:ヴィル・ハルトマン(Will HARTMANN)
シュテヴァ・ブリヤ:ジャンルカ・ザンピエーリ(Gianluca ZAMPIERI)
コステルニチカ:ジェニファー・ラーモア(Jennifer LARMORE)
イェヌーファ:ミヒャエラ・カウネ(Michaela KAUNE)
粉屋の親方:萩原潤
村長:志村文彦
村長夫人:与田朝子
カロルカ:針生美智子
羊飼いの女:鵜木絵里
バレナ:小泉詠子
ヤノ:吉原圭子

合唱指揮: 冨平恭平
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京交響楽団
芸術監督:飯守泰次郎

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