藤原歌劇団オペラ「ナヴァラの娘」「道化師」 [オペラぁ!]
藤原歌劇団のオペラ公演は、
ジュール・マスネの「ナヴァラの娘」とレオン・カヴァッロの「道化師」。
ジュール・マスネの「ナヴァラの娘」とレオン・カヴァッロの「道化師」。
「ナヴァラの娘」は1894年の作品ですが、
この公演が日本初演だそうです。
美しい弦楽が激情の物語を支えるオペラですが、
印象的な旋律があるわけでもなく、
死ではなく主人公の発狂で終わる幕切れが、
何となく上演を遠ざけていたのでしょうか。
従軍する恋人との間を認めないその父からナヴァラの田舎娘が、
法外な持参金を要求され、
懸賞金目当てに敵軍への刺客となり、
大金を手にするも、
娘を追った恋人は傷を負い瀕死の状態で帰還、
「敵軍の情婦に成り下がったのか!」と疑いを向ける。
その疑いが解けた時には恋人は息絶え、
娘は狂乱する。
という話ですが、マルコ・ガンディーニの演出は、
色彩を抑えたモノクロームな野戦基地が舞台。
廃墟のような装置ですが、
よく見ると後ろの方に椅子が乱雑に積み上げてあります。
これは、見る人が観れば分かると思いますが、
次の演目「道化師」の劇中劇で観客用に使われるだろうもので、
そんな想像もオペラの楽しみの一つです。
無彩色の舞台に地味な服装のナヴァラの娘を歌ったのは、
ソプラノの小林厚子。
埃っぽい舞台から響く美しい歌声が枯野に咲く一輪の花のようでした。
つづく「道化師」は、
同じ舞台装置で中央に旅芝居一座のステージを置き、
前座にはサーカス芸人も登場して会場を沸かせます。
劇中劇ではダンボールで作ったような平べったい椅子やテーブルが、
ワイヤーで吊るされて上下します。
座長の妻で孤児だったのを育てられた娘ネッダ役は砂川涼子。
ミミとかミカエラとかリュウとか清楚でけなげな役柄がはまり役のソプラノですが、
そういう人がテーブルに足を上げたり人を蹴り飛ばしたりといった、
跳ねっ返り娘になり切っているのを観るのも楽しいものです。
終演後ホワイエで砂川涼子と握手した、!
2018年1月27日 藤原歌劇団オペラ「ナヴァラの娘」「道化師」
LA NAVARRAISE & I PAGLIACCI
指揮 : 柴田真郁(Maiku SHIBATA)
演出 : マルコ・ガンディーニ(Marco GANDINI)
演出 : マルコ・ガンディーニ(Marco GANDINI)
会場 : 東京文化会館
キャスト
「ナヴァラの娘」
アニタ : 小林厚子
アラキル : 小山陽二郎
レミージョ : 持木弘
ガリード : 田中大揮
ラモン : 松岡幸太
ブスタメンテ : 安東玄人
「道化師」
カニオ : 笛田博昭
ネッダ : 砂川涼子
トニオ : 牧野正人
ペッペ : 所谷直生
シルヴィオ : 森口賢二
総監督 : 折江忠道
合唱:藤原歌劇団合唱部
児童合唱:多摩ファミリーシンガーズ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
STAFF
合唱指揮:須藤桂司
美術:イタロ・グラッシ
衣裳:シモーナ・モッレージ
照明:奥畑康夫
舞台監督:斎藤美穂
副指揮:諸遊耕史、鬼原良尚
演出助手:堀岡佐知子
タグ:マスネ
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