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新国立劇所 オペラ「夏の夜の夢」 [オペラぁ!]

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新型コロナウィルスの影響でしばらく休演していた新国立劇場が再開。2020年のシーズン開幕はブリテン作曲の「夏の夜の夢」、シェイクスピアの戯曲のオペラ化で1960年の作品。

今回の上演は感染症対策の渡航制限で海外勢の来日が叶わずオール日本人のキャストでの上演、演出も出演者同士が触れ合わず距離をとった「ニューノーマル時代の新演出版」というもの。

幕開け、水墨画のような紗幕が開くと、写真のように夏の満月が屋根裏の骨組みを通して影を作る廃墟のような舞台、最後まで舞台の大きな転回はなく妖精や貴族の恋をめぐる物語が展開します。自然界の生物の妖精を少年合唱が澄んだ声で歌い、倒れた巨木の上で指南役の妖精パックはビジュアル系ロック歌手さながらに長髪を振りかざしてまくし立てます。

ブリテンの音楽は初期の無調性からは独自の音楽を指向しているようで、弦楽・管楽のとぎれのないゆらゆらと揺れるような幻想的な音楽で、更に第2幕の幕切れではそれが消え入るような小さな音になって観客を引き付けます。

妖精王のオーベロン役はカウンターテナーの藤木大地、バロックオペラではよく聞く突き抜けるようなカウンターテナーではなく穏やかでしっとりとした歌唱はなかなか聴きごたえがあります。

パック役の河野鉄平は役どころも役作りも素晴らしく舞台の要になっていました。

ヘレナ役の大隅智佳子は久しぶりに聴きましたが澄んだソプラノに更に磨きが掛かった感じ、動作と体形は役作りなのかちょっと疑問。

とにかく試行錯誤しながらも動き出したオペラ界、なによりです。
家へ帰ったら朝日新聞夕刊に舞台評が出ていました。
これまでなら印象が覚めた頃に、イマゴロ?というタイミングでしたが、
余程ネタが少ないのか?これからもこのぐらいのスピードでお願いしたいです。

ブリテンの初期のオペラ「ピーター・グライムズ」のレビューはこちら↓
https://turlinco.blog.ss-blog.jp/2012-10-04


2020年10月9日 新国立劇所 オペラ「夏の夜の夢」

A Midsummer Night's Dream
Music by Benjamin BRITTEN
Original Production of La Monnaie – De Munt in Brussels


指揮:飯森範親
演出・ムーヴメント:レア・ハウスマン(デイヴィッド・マクヴィカーの演出に基づく)
美術・衣裳:レイ・スミス
美術・衣裳補:ウィリアム・フリッカー 
照 明:ベン・ピッカースギル(ポール・コンスタブルによるオリジナルデザインに基づく)
児童合唱指揮:米屋恵子/伊藤邦恵
音楽チーフ:城谷正博
演出チーフ:澤田康子 
照明補:鈴木 武人
舞台監督:高橋尚史

オーベロン :藤木大地
タイターニア :平井香織
パック :河野鉄平
シーシアス :大塚博章
ヒポリタ :小林由佳
ライサンダー :村上公太
ディミートリアス :近藤圭
ハーミア :但馬由香
ヘレナ :大隅智佳子
ボトム :高橋正尚
クインス :妻屋秀和
フルート : 岸浪愛学
スナッグ: 志村文彦
スナウト: 青地英幸
スターヴリング: 吉川健一

児童合唱: TOKYO FM少年合唱団
管弦楽 : 東京フィルハーモニー交響楽団

芸術監督:大野和士


Conductor: IIMORI Norichika
Stage Director and Movement: Leah HAUSMAN
Based on on the production of David McVICAR
Set and Costume Design: Rae SMITH
Associate Set and Costume Design: William FRICKER
Lighting Design: Ben PICKERSGILL
Based on the original designs of Paule CONSTABLE
Stage Manager: TAKAHASHI Naohito

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