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東京二期会 オペラ「タンホイザー」 [オペラぁ!]

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東京二期会の「タンホイザー」はフランス国立ラン歌劇場との提携公演でキース・ウォーナーの演出。指揮は当初バイロイトでの実績もあるアクセル・コーパーの予定でしたが、新型コロナによる入国制限のため来日出来ず、今回演奏する読売日本交響楽団の常任指揮者のクリスチャン・ヴァイグレに変更となりました。

新国立劇場の「ニュルンベルグの指環」でダイナミックで斬新な演出をしたキース・ウォーナーの舞台だったので大いに期待していました。中央に広い空間をたっぷり取って左右にはバルコニーに配し、正面奥には額縁状に切り取ったような小舞台があります。そして中央に逆円錐状の骨組みがぶら下がっていて天界への入口のようになっています。

幕開け、ベーヌスベルクのシーンでは官能の快楽の世界に身を委ねるタンホイザーですが、数台の寝椅子を引っ張りまわしてダンサーたちが肢体をくねらせ踊りエロエロの世界を表現します。このシーン新国立劇場キース・ウォーナー演出のワルキューレで傷ついた戦士をストレッチャーに乗せて運ぶところに似てました。この後歌合戦の場面では沢山の椅子を並べてどんどん配置を変えていく演出もありましたが、小道具の使い方が上手です。全編に渡って大きく舞台が転回する事はありませんがそれぞれのシーンの雰囲気が巧みに演出されていました。

音楽についてはとにかく楽曲が素晴らしいので緊張が途切れません。ワーグナーの初期の作品で旋律がはっきりしていて力強く、随所にコーラスが入っているのも魅力です。今回も男声コーラス、女性コーラス、混声コーラスとそれぞれ迫力があり聴き応えのあるものでしたが、カーテンコールで出てきた合唱指揮者は新国立劇場で長く同職をやっていた三澤洋史でした。どうりで締りのいいコーラスだと思いましたが、二期会へ転向したのでしょうか。

タンホイザーを歌ったのは片寄純也、最初はどうかと思いましたが時間が経ってくると体も温まるためか発声もしっかりしてきて、長丁場を歌い切りました。エリザーベトを歌ったのは田崎尚美、その強靭な喉に感心しました。

今年の秋には延期になっていた東京文化会館の「マイスタジンガー」公演があるそうです。

これまでに観た「タンホイザー」公演、
2019年新国立劇場公演のレビューはこちら↓
https://turlinco.blog.ss-blog.jp/2019-02-07

2012年東京二期会公演のレビューはこちら↓
https://turlinco.blog.ss-blog.jp/2012-03-23

2007年オペラの森公演のレビューはこちら↓
https://turlinco.blog.ss-blog.jp/2007-03-13


2021年2月17日 東京二期会 オペラ「タンホイザー」
TANNHÄUSER
Libretto and Music by RICHARD WAGNER
会場:東京文化会館

スタッフ
指揮: セバスティアン・ヴァイグレ(Sebastian WEIGLE)
原演出: キース・ウォーナー(Keith WARNER)
演出補: ドロテア・キルシュバウム(Dorothea KIRSCHBAUM) 
装置: ボリス・クドルチカ(Boris KUDLIČKA)
衣裳: カスパー・グラーナー(Kaspar GLARNER)
照明: ジョン・ビショップ(John BISHOP)
映像: ミコワイ・モレンダ (Mikolaj MOLENDA)

合唱指揮: 三澤洋史
演出助手: 島田彌六
舞台監督: 幸泉浩司
公演監督: 佐々木典子

キャスト
ヘルマン:狩野賢一
タンホイザー:片寄純也
ヴォルフラム:大沼徹
ヴァルター:大川信之
ビーテロルフ:友清崇
ハインリヒ:菅野敦
ラインマル:河野鉄平
エリーザベト:田崎尚美
ヴェーヌス:板波利加
牧童:吉田桃子
4人の小姓:横森由衣・金治久美子・実川裕紀・長田惟子

合唱:二期会合唱団
管弦楽:読売日本交響楽団

タグ:ワーグナー
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