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新国立劇場研修所 オペラ「悩める劇場支配人」 [オペラぁ!]

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新国立劇場のオペラ研修所公演、昨年は「フィガロの結婚」公演がコロナの影響で中止に、今年は感染対策を徹底し、1幕物でコーラスのない演目を選んだそうですが、このチマローザの「悩める劇場支配人」は1786年の作品ですが、なんと日本初演との事です。

チマローザはナポリ出身の作曲家で、当時はローマを中心にオペラ・ブッファの第一人者として活躍していましたが、あのモーツァルトと同じ時代で、この「悩める劇場支配人」の初演はモーツァルトの「フィガロの結婚」と同じ年の作品、曲調も似たような感じでチェンバロを挟んで会話をつなげていくスタイルも同様です。それに加えてロッシーニ風のリズムに乗った颯爽とした曲も随所にみられ、このあたりは後に一世を風靡するロッシーニのオペラ・ブッファの先駆けになっているようです。

物語はオペラの盛んなナポリで3人のわがまま放題のプリマドンナに振り回される劇場支配人の話が作曲家や作詞家を巻き込んで進んでいく内容で、終幕の盛り上がりはいまひとつ、楽曲はいいのですがこの展開があまり上演機会に恵まれなかった理由かもしれません。

新国立劇場のオペラ研修生のは第21期から23期生、日替わりのダブルキャストですが今日は21期生が中心、全体に歌のレベルは高く感じましたが、個性というか役のキャラクターを表現するのはなかなか難しいようです。歌手と作家と経営者ではそれぞれ違った個性があるはずですが、観ていて区別がつきません。単調な演出や装置にも問題があるかもしれませんが。
作家ペリツォニオ役のバリトン仲田尋一は声もいいし狡猾な策略家が演じられていました。プリマのメルリーナ役のソプラノ和田悠花もプリマの華やかさが際立っていました。

演奏は若手中心の新国立アカデミーアンサンブルで指揮も若手の辻博之、細かく刻んだ爽やかな弦楽にちょっとバロック掛かったオーボエが親密に絡み、まとまったアンサンブルが心地よく響きました。


2021年3月5日 新国立劇場研修所 オペラ「悩める劇場支配人」


スタッフ
作 曲:ドメニコ・チマローザ
台 本:ジュゼッペ・マリア・ディオダーティ
指 揮:辻博之
演 出:久恒秀典
装 置:黒沢みち
照 明:稲葉直人(ASG)
衣裳コーディネーター:増田恵美(モマ・ワークショップ)
管弦楽:新国立アカデミーアンサンブル

キャスト
【フィオルディスピーナ】井口侑奏
【メルリーナ】和田悠花
【ドラルバ】杉山沙織
【ドン・ペリツォニオ】仲田尋一
【ドン・クリソーボロ】井上大聞
【ジェリンド】増田貴寛
【ストラビーニオ】森翔梧

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