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新国立劇場 オペラ「夜鳴きうぐいす/イオランタ」 [オペラぁ!]

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新国立劇場の新制作は「夜鳴きうぐいす」と写真の「イオランタ」。ロシアオペラの2本立て公演、「夜鳴きうぐいす」はストラヴィンスキー作曲1914年の作品で上演時間は50分、「イオランタ」はチャイコフスキー作曲1891年の作品で上演時間は95分、演出は美術・衣装も手掛けるギリシャ出身のヤニス・コッコス。

「夜鳴きうぐいす」は中国の山奥で夜に鳴くウグイスを皇帝が居城へ連れて帰って鳴かせたら病が治ったというアンデルセンの童話を題材にしていますが、童話的内容のためか打楽器を多用しているに係わらずストラヴィンスキーの前衛的な音楽はあまり感じられず、うぐいす役が高音を駆使して歌うなど耳に馴染む曲調。舞台は山深い背景を奥舞台へ向かってレイヤーを重ねていくような構成でミステリアスな雰囲気をつくり、後半の皇帝の居城は黄色や赤など原色を多用したキッチュな中国趣味の装置に中国北方民族が着ていそうなカラフルで綿の入ったぼってりした衣装が映えていました。うぐいす役の三宅理恵が高音を舞うように歌ったのが印象的でした。

「イオランタ」は盲目の王女が、目の見えない事が当たりまえの事として育てられ、運命の男と出会って視力を取り戻すという話。背景のレイヤーと手前の装置という構成は同じながら雰囲気は変わって、王女が世間と交わらないように囲われている屋敷はモダンな郊外の別荘のようなところ、盲目のイオランタを多数の侍女が世話をしていますがイオランタ役の大隅智佳子の声が素晴らしい、昨今のコロナの影響で来日組がほぼキャンセル状態が続いていますが前回の「フィガロ結婚」に続く抜擢で評価もなかなかいいようです。その他ルネ王役のバス妻屋秀和はベテランの安定した歌唱、ベルトラン役のバス大塚博章も良かったと思うのはちょっと低音パート贔屓かも知れませんがゾクっとします。

会場の入る時に公演案内ちらしの他に「ちいさなお客様向けあらすじ」が置いてありました。かみ砕いたあらすじで漢字には全てふりがなをふり、演出家のイラストも添えられていました。目が見えなくて当たりまえの人生や光や空を感じられる事の喜びなど大人でもハッとさせられる内容で、ちいさなお客さんがやがてたくさんのお客さんになる事を願ってやみません。


2021年4月8日 新国立劇場 オペラ「夜鳴きうぐいす/イオランタ」

スタッフ
【指 揮】高関 健
【演出・美術・衣裳】ヤニス・コッコス(Yannis KOKKOS)
【アーティスティック・コラボレーター】アンヌ・ブランカール(Anne BLANCARD)
【照 明】ヴィニチオ・ケリ(Vinicio CHELI)
【映 像】エリック・デュラント(Eric DURANTEAU)
【振 付】ナタリー・ヴァン・パリス(Natalie VAN PARYS)

キャスト
『夜鳴きうぐいす』
【夜鳴きうぐいす】三宅理恵
【料理人】針生美智子
【漁師】伊藤達人
【中国の皇帝】吉川健一
【侍従】ヴィタリ・ユシュマノフ(Vitaly YUSHMANOV)
【僧侶】志村文彦
【死神】山下牧子
【三人の日本の使者たち】高橋正尚/濱松孝行/青地英幸

『イオランタ』
【ルネ】妻屋秀和
【ロベルト】井上大聞
【ヴォデモン伯爵】内山信吾
【エブン=ハキア】ヴィタリ・ユシュマノフ(Vitaly YUSHMANOV)
【アルメリック】村上公太
【ベルトラン】大塚博章
【イオランタ】大隅智佳子
【マルタ】山下牧子
【ブリギッタ】日比野幸
【ラウラ】富岡明子
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

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