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新国立劇場 オペラ「Super Angels スーパーエンジェル」 [オペラぁ!]

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新国立劇場の子どもと楽しむ夏休み企画「スーパーエンジェル」
昨年上演予定がコロナの影響で1年延期に、コロナの勢いは納まりませんが万全の感染対策を施しての実施となりました。

子どもも楽しめると言っていますが、台本を書き下ろしたのは作家の島田雅彦。三島由紀夫を思わせる鋭い洞察と耽美的な表現で独特の世界観を持つ小説を数多く発表していてオペラオタクでもあり蝶々夫人の続編も書いてしまったような人で、子どもに媚びるようなものには絶対ならないと思っていましたが、パンフレットを読んで、観て、読んで、やっとぼんやり分かるような内容でした。

学校の卒業式で異端者の烙印を押され開拓地へ送られた主人公が、教育係のアンドロイドとの交流を通じて人間の心とAIの知能を融和させ新しい世界の扉を開いていくという話。

演出は演劇部門の芸術監督でもある小川絵梨子。縦横の格子に映像をかぶせた抽象表現で、歌っている歌詞ははっきりしているのになんとなくストーリーが掴みにくく、内容を難しくしているように感じました。1幕物で舞台の転回でも幕が下りる事はなく薄暗い舞台での移動が見えるのも間が悪く、幕切れも終わったのかどうか判断出来ず、客席が明るくなってやっと拍手が聞こえ始めるような状況でしたが、これはけじめをつけずに全てを見せ、後は観客に任せるという演出だったのでしょうか。

渋谷慶一郎が作曲する音楽は前衛的なもので、抽象的な舞台と近未来的内容には合って新鮮な感じもしました。

主役はアンドロイドと開拓地へ送られる異端者はカウンターテナーの藤木大地。少年のような衣装にボーイソプラノが自然すぎて、子どもの純粋さをしみじみと感じました。また「異端5」というバイオリンソロの登場人物がいて、いつもやる気なさそうに後ろを向いる少女ですがバイオリンを弾く前から不思議な存在感で個性の象徴のように見えました。この作品でいえばこの少女は作家の島田雅彦であり作曲の渋谷慶一郎であり指揮の大野和士なのかなぁ、と思いました。


2021年8月21日 新国立劇場 オペラ「Super Angels スーパーエンジェル」
スタッフ
【総合プロデュース・指揮】大野和士
【台 本】島田雅彦
【作 曲】渋谷慶一郎
【演出監修】小川絵梨子
【総合舞台美術(装置・衣裳・照明・映像監督)】針生 康
【映 像】WEiRDCORE
【振 付】貝川鐵夫
【舞踊監修】大原永子
【演出補】澤田康子
【オルタ3プログラミング】今井慎太郎
キャスト
【ゴーレム3】オルタ3 (Supported by mixi, Inc.)
【アキラ】藤木大地
【エリカ】三宅理恵
【ジョージ】成田博之
【ルイジ/異端1】小泉詠子
【異端2】込山由貴子
【異端3】北村典子
【異端4】上野裕之
【異端5】長野礼奈
【合唱】世田谷ジュニア合唱団 ホワイトハンドコーラスNIPPON 新国立劇場合唱団
【バレエ】渡邊峻郁、木村優里、渡辺与布 中島瑞生、渡邊拓朗(新国立劇場バレエ団)
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

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