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藤原歌劇団 オペラ 「ラ・トラヴィアータ」 [オペラぁ!]


トラヴィアータ.jpg会場の最寄駅は小田急線の新百合ヶ丘、
昔は駅の反対側に、
区役所がポツンとあっただけの閑散とした印象でしたが、
今では開発が進んで、
大きな吹き抜けのある駅コンコースに始まり、
デパートやホテルなどが林立、
行き交う人々も格段に増え、
同じ沿線の町田駅にはない垢抜けた様相に様変わりしていました。

会場のテアトロ・ジーリオ・ショウワは、
そんな駅直近の喧騒から抜けきらない便利な場所にある、
昭和音楽大学の構内にあります。

霧雨の舞う夕刻、
緩やかなカーブを描く、両側の芝生に囲まれた石畳のスロープを登りきると、
左手にホールのエントランス、右に平屋の小さいレストランに囲まれた広場に出ます。
このこじんまりした心地よい空間は、
天気が良ければ、
幕間の劇場ホワイエの延長として、
風を感じながらグラスを傾けるのに最高の場所になりそうです。

そう言えば、
イタリア・ミラノのスカラ座、アルチンボルディ劇場もちょうどこんな感じで、
エントランスの外にカフェがあって、
劇場スタッフがわざわざ開演を告げにやって来ても、
グラスを片手に、なかなかおしゃべりをやめない人達が大勢いたのを覚えています。
目を上げると高層マンションの外廊下が見えるのもご愛嬌、
そんな郊外住宅都市の立地も似ています。

今回の演目は「ラ・トラヴィアータ」、
日本では、内容のイメージがふくらみやすい、
アレクサンドル・デュマ・フィス原作の邦訳「椿姫」とする事が多いですが、
あえて原題通りとしたようです。

イタリアのベテラン演出家ベッペ・デ・トマージ演出で、
1998年以降再演が重ねられている舞台との事でしたが、
劇場立地のせいか、
1200席程度の小さめの劇場ながら、空席が結構目立っていました、
空席が多いと会場が散漫になるので残念です。

緑の大理石を金で飾った主人公ヴィオレッタの邸宅、
豪華な中にも、家具調度品や照明など、
何これ?と思わせる新鮮さも散りばめられていました。
演出もオーソドックスながら、
序曲では、
音楽が暗示する結末を紗幕の奥で演じたり、
幕切れも、
愛する人の腕に抱かれて息絶えるのではなく、
主人公の最期に光が射し、
客席まで明るくして、
「この終わりは絶望ではないのです。」と言っているようで、
ある種の、壮快な余韻を残しました。

ヴィオレッタ役のダニエラ・ブルエラは容姿も美しく、
瀕死の主人公を繊細なピアニッシモで演じて大喝采、
ちらしのスチール写真を変えれば、
劇場の空席ももっと減ったのではないでしょうか?
アルフレード役のステファノ・セッコもいかにもイタリア的、
ちょっと舌を巻いたような発声で好演でした。

この舞台、
作曲、指揮、演出、主役2人がイタリア人という事になります。
指揮はジュリアーノ・カレッラ、1956年ミラノ生まれ。
日本での評価は分かれそうですが、
緩急の付いた指揮に、
イタリアならオーケストラがどんどん乗って来て、
熱気が客席まで伝わってくるところですが、
東京フィルハーモニー交響楽団は坦々と演奏している印象でした、
上演が重なると盛り上がっていくのでしょうか?


オペラ 「ラ・トラヴィアータ」(LA TRAVIATA)
8月26日 テアトロ・ジーリオ・ショウワ 藤原歌劇団 

作曲:G.ヴェルディ

スタッフ
指揮:ジュリアーノ・カレッラ (GIULIANO CARELLA)
演出:ベッペ・デ・トマージ (BEPPE DE TOMASI)
再演演出:馬場紀雄

キャスト
ヴィオレッタ  ダニエラ・ブルエーラ (DANIELA BRUERA)
アルフレード ステファノ・セッコ (STEFANO SECCO)
ジェルモン   牧野 正人
フローラ    森山 京子
ガストン    小宮 一浩
ドゥフォール 彭 康亮
ドビニー    柿沼 伸美
グランヴィル 久保田 真澄
アンニーナ   家田 紀子
ジュゼッペ   梅原 光洋
使者         大石 洋史
召使         水野 洋助

合唱 : 藤原歌劇団合唱部
管弦楽 : 東京フィルハーモニー交響楽団
バレエ : スターダンサーズ・バレエ団


タグ:ヴェルディ
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コメント 1

xml_xsl

つるりんこ さん、こんにちは、=(^。^)=
ジェルモン(Bs)、の”プロバンスの……”、
いいですね!、
ライヴだと、また違った良さが加わるから、
いっそう!、\(^。^)/
by xml_xsl (2008-11-09 15:47) 

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