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日生劇場 オペラ「オルフェオとエウリディーチェ」 [オペラぁ!]

orfeo1.jpgグルック作曲の、「オルフェオとエウリディーチェ」は、1762年ウィーンのブルク劇場で初演されています。

従来のアリア中心のぶつ切れオペラから一転、音楽と物語が一体となって進んでいく構成で、オペラに改革をもたらました。

そして、後のワーグナーにも影響を与えたと言われてますが、親しみやすい曲想や、幻想的なコーラスなどは、むしろ少し遅れて同時代を生きたモーツァルトの、その神がかり的な才能を開花させた、作想の礎となっているように感じます。

また、日本で日本人により初めて上演されたオペラでもありますが、今回、そんな古典的な作品を、現代に蘇らせた高島勲の演出は、振り付けに広崎うらんを起用して、本来バレエが挿入される場面を、6人の鍛えられた体の男性ダンサーが、バレエ的しなやかな動きとキレのあるストリート・ダンスで、斬新に演出し、ともすれば緩みがちな舞台を引き締めました。

オルフェオが亡き妻エウリディーチェのいる冥界へ向かうシーンでは、
半透明のポリ製大幕に赤や青の照明と、布をまとった群集が、悪霊たちが支配する道のりの暗然たるカオスを生々しく表現、シンプルな装置で効果的舞台になっていました。

幕開け、本来妻の死を嘆き、喪に服しているはずのオルフェオが、ウィーンのカフェ風の場所で、真っ赤なスーツを着ているに違和感を感じましたが、妻を取り返しに行く冥界への挑戦を表しているのなら、納得できます。

主なキャストは3人で全て女性でしたが、アモーレ役の佐藤優子は愛嬌のあるソプラノで、ダンサーに混じって軽快に舞う天使を演じ切っていました。

そして、なんと言っても素晴らしかったのは合唱。
もともと美しい音楽ですが、声を抑えたコーラスが一糸乱れずホールに染み渡る感動は、言葉に尽くせません。
更に、舞台の床に反射したゆらいだ光が、アコヤ貝の張詰められた客席天井を照らし、情景をよりいっそう神秘的に演出、250年の時を越えて蘇った舞台に感慨もひとしおでした。


2010年11月13日 日生劇場 オペラ「オルフェオとエウリディーチェ・ウィーン版」
作曲:C.W.グルック
台本:ラニエリ・デ・カルツァビージ
指揮:広上淳一
演出:高島勲

スタッフ

美術:へニング・フォン・ギールケ
振付:広崎 うらん
照明コーディネーター:稲葉 直人
演出助手・字幕:菊池 裕美子
舞台監督:幸泉 浩司
合唱指揮:田中 信昭
チーフ音楽スタッフ:服部 容子
音楽スタッフ:佐藤 宏充、平塚 洋子、小森 康弘、湯浅加奈子、田中祐子、矢野里奈

キャスト
オルフェオ:手嶋眞佐子
エウリディーチェ:佐藤路子
アモーレ:佐藤優子

ダンサー:三枝宏次、池島優、鈴木陽平、渋谷亘宏、千田真司、やすし

管弦楽:読売日本管弦楽団
合唱:C.ヴィレッジシンガーズ

主催・企画・制作:日生劇場【公益財団法人ニッセイ文化振興財団】

タグ:グルック
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MILBON

BBBB+Mのブログは暫く休んでいて、自分でも素通りしていました。そんな訳で、nice!を頂いていたのに気付きませんでした。訪問本当にありがとうございました。
連日とはいきませんけれどBBBB+Mにも今日から再開致しました。今後ともよろしくお願い致します。
by MILBON (2010-11-15 13:21) 

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