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新国立劇場 オペラ「オテロ」 [オペラぁ!]

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新国立劇場の「オテロ」は2009年のプロダクションの再演。
50tの水を使ってベネツィアの古い街並みを再現した舞台は、
映画監督の演出らしくどこの背景で切り取っても絵になる構成で、
箱庭的空間に点在する人々の距離感が、
微妙な心理的駆け引きを巧みに演出します。

水をテーマにした演出ですが、初演時からの変更もありました。
水辺に落ちたハンカチをイアーゴが棒を使って引き寄せるシーンがなくなり、
オテロが水辺に倒れ込んで全身ずぶ濡れになる幕切れもなくなりました。
どちらも水が印象的に使われたシーンでしたが出演者からの要望でもあったのでしょうか?
2年半前の初演時のレビューはこちら↓
http://turlinco.blog.so-net.ne.jp/2009-10-07

何度聴いても素晴らしい「オテロ」の音楽ですが、
今回はオーケストラも力が入っていて、
強烈なヴェルディ音楽の猛々しい盛り上がりと、
愛や悲しみを奏でる繊細なアンサンブルの対比で、
舞台を立体的に引き立てていました。

その繊細なパートをになうオテロの妻デズデーモア役のマリア・ルイジア・ボルシ。
前半の2重唱など低音がきれいに響く印象でしたが、
後半の「柳の歌」や、続く「アヴェ・マリア」ではドライな高音を美しく響かせました。
そして影の主役イアーゴ役はミカエル・ババジャニアン、
ちょっとサイケでサイコな役作りがなかなか新鮮でした。


2012年4月10日 新国立劇場 オペラ「オテロ」
Giuseppe Verdi : Otello

スタッフ
【指 揮】ジャン・レイサム=ケーニック(Jan Latham-Koenig)
【演 出】マリオ・マルトーネ(Mario Martone)
【美 術】マルゲリータ・パッリ(Ursula Patzak)
【衣 裳】ウルスラ・パーツァック(Ursula Patzak)
【照 明】川口雅弘(Kawaguchi Masahiro)

キャスト
【オテロ】ヴァルテル・フラッカーロ(Walter Fraccaro)
【デズデーモナ】マリア・ルイジア・ボルシ(Maria Luigia Borsi)
【イアーゴ】ミカエル・ババジャニアン(Mikael Babajanyan)
【ロドヴィーコ】松位 浩(Matsui Hiroshi)
【カッシオ】小原啓楼(Ohara Keiroh)
【エミーリア】清水華澄(Shimizu Kasumi)
【ロデリーゴ】内山信吾(Uchiyama Shingo)
【モンターノ】久保田真澄(Kubota Masumi)
【伝 令】タン・ジュンボ(Tang Jun Bo)

【合 唱】新国立劇場合唱団(New National Theatre Chorus)
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団(Tokyo Philharmonic Orchestra)

タグ:ヴェルディ
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