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新国立劇場 オペラ「運命の力」 [オペラぁ!]

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新国立劇場の「運命の力」は2006年の初演以来9年ぶりの再演。
20世紀のスペイン市民戦争の時代に置き換えたエミリオ・サージの演出は、
とても洗練されたスタイリッシュな舞台。
ヴェルディのオペラの中でもどちらかというと人気のない作品で、
初日の客席も空席が目立ちましたが、
とにかく再演の舞台を目にする事が出来てまずは良かった良かった、です。

恋人に父親を殺され、最後には兄に殺されてしまうという救いのない物語。
ヴェルディ円熟期の緩急のあるドラマチックな音楽ですが、
イタリアオペラでありながら舞台がスペインなので、
イタリア人にもあまり人気がないのかも知れません。
舞台がイタリアだったらきっと熱狂していたのではないかと思います。

第1幕、侯爵の館は赤い床に、
白い箱に螺旋階段が付いているのシンプルなもの、
幕の転回では箱が沈んで赤い床と一体になります。
また、紗幕と照明の効果で、
幕の奥の群集が徐々に浮き上がってくる演出や、
軍隊の行進を影だけで表現するなど心憎い演出が随所に散りばめられ、
そんな紗幕と照明の効果や影を巧みに使って舞台を2重にも3重にも見せ、
装置の移動も修道僧がさりげなく行い、
舞台を途切れさせません。

主役のレオノーラを歌ったのはソプラノのイアーノ・タマー、
消え入りそうなピアニッシモが美しく響きます。
恋人のアルヴァーロ役のゾラン・トドロヴィッチはロバート・デニーロ風イケメン。
出だしこそ堅かったものの徐々に調子を上げていきました。

東京フィルハーモニー交響楽団を指揮したのはホセ・ルイス・ゴメス。
ヴェルディの情熱的音楽と繊細な音楽に十分なメリハリを付けて、
大迫力の演奏の後には砂埃が舞っているようにさえ感じました。



2015年4月2日 新国立劇場 オペラ「運命の力」
La Forza del Destino/Giuseppe Verdi

スタッフ
【指揮】ホセ・ルイス・ゴメス(José Luis GOMEZ9
【演出】エミリオ・サージ(Emilio SAGI )
【美術・衣裳】ローレンス・コルベッラ(Llorens CORBELLA)
【照明】磯野睦

キャスト
【レオノーラ】イアーノ・タマー(Iano TAMAR)
【ドン・アルヴァーロ】ゾラン・トドロヴィッチ(Zoran TODOROVICH)
【ドン・カルロ】マルコ・ディ・フェリーチェ(Marco di FELICE)
【プレツィオジッラ】ケテワン・ケモクリーゼ(Ketevan KEMOKLIDZE)
【グァルディアーノ神父】松位浩
【フラ・メリトーネ】マルコ・カマストラ(Marco CAMASTRA)
【カラトラーヴァ侯爵】久保田真澄
【マストロ・トラブーコ】松浦健

【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

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