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シュテファン・ツヴァバイク 「マリー・アントワネット」 [ブックぅ!]

シュテファン・ツヴァイク 「マリー・アントワネット」

今は、映画の方が話題になっています。
  
1755年オーストリア女帝の娘として生まれ、
16歳にしてフランスのルイ王子に嫁ぎ、
王妃となるもフランス革命により、
38歳で断頭台の露と消えた、
一人のあまりにも有名な女性を描いた作品ですが、

本人の波乱万丈な人生はともかく、
作者の簡潔かつ分かりやすい文章と、
表現力豊かな比喩を交えた表現に加え、
おそらく巧みな翻訳の妙により、
上下巻一気に読み飛ばしてしまいました。

ベルサイユ宮殿の様子は、
まるでメモでも取りながら、
常に本人の後ろについて歩いていたかのような細かい描写も、
想像に寄るところが多かったのだと思いますが、
200年以上も前の、
フランスの王族と庶民の生活の差や、
凱旋門やエッフェル塔もなかった頃の、
パリの街を辻馬車が走る様子などが手に取るように分かります。

また、
良人ルイ16世の性的不能や、
マリー・アントワネットの不倫と言ってしまうのも哀しい恋の物語など、
タブー視されていた事や、
後に文書が発見されて分かった事など、
一見下世話な内容の中にも、
生命の昂ぶりを読み取る事が出来て、
社会的には放蕩と見なされる生活にも、
反面理不尽な環境におけるやるせなさ等があったりで、
状況や立場が変われば黒く見えていた物も白く見えたり。
今の世の中でも同じですが、
ちょっとスケールが大き過ぎたかなという感じです。

で、今回パリへ行って、
「ベルサイユ宮殿は行ったの?」
「いえ。」
「投獄されてたコンシェルジュエリーは?」
「いえ。」
「ゆかりの地へは行ってないの?」
「処刑されたコンコルド広場。」
「どうだった?」
「・・・、何もなかった。」

マリー・アントワネット〈上〉

マリー・アントワネット〈上〉

  • 作者: シュテファン ツヴァイク
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1980/01
  • メディア: 文庫

マリー・アントワネット 下    岩波文庫 赤 437-2

マリー・アントワネット 〈下〉

  • 作者: シュテファン ツワイク
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1980/01
  • メディア: 文庫


タグ:パリ
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