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大田区民オペラ 「ノルマ」 [オペラぁ!]


2007年10月27日 オペラ「ノルマ」



ホールのある蒲田の駅付近はこれまで雑然としたイメージでしたが、
現在リニューアル工事中で2008年には、構内や付近のお店も新しくなるようです。
そしてこのアプリコホールも蒲田のイメージを裏切るもので、
駅近ながら公園の中に建つ新しい複合施設に入っており、
ホワイエからは吹き抜けのロビーが見下ろせる開放的な造りになっています。
ただし今日はあいにく、季節外れの台風の直撃による激しい風雨で、
並木の枝は折れ、傘もさしていられない程でした。

V.ベリーニの「ノルマ」は1831年ミラノスカラ座で初演されています。
今回の舞台はその中央に50センチ程の高さの岩をイメージしたステージと、
その上に神の象徴としての樫の老木、
その前面に背丈以上の縦長で可動式の岩が4枚、
それだけのシンプルなものでしたが、
暗めの照明でミステリアスな森の雰囲気が良く出ており、
簡単な布をまとっただけのコーラスも、
照明で微妙な色が浮かび上がるように工夫されていました。

今回の演出は三浦安浩さん、
去年の新国立小劇場での「セルセ」では、
バロックの古典オペラを現代に読み違えて、
バロックファンに散々こき下ろされていましたが、
ジョナサン・ミラーに評価されているというだけあって、
少ない道具でストーリーのテーマを引き出す手法はサスガです。
エンディングでは、
主人公ノルマが自らの罪の告白を歌う背景で、
火刑台が徐々に作られていき、
緊張感がだんだん高まって行く様子が、
さりげなく、上手く演出されていました。

そして歌のメインは巫女長ノルマ役の吉田恭子さんと、
若い巫女アダルジーザ役の小林菜美さん、
超人的な高音をこなしていましたが、
声質が似ているのか2重唱のメリハリがイマイチだったように思いました、
それに引きかえ、ノルマの待女クロティルデ役の丸山奈津美さんは、
出番が少ないながら、その芯のあるメゾソプラノはなかなか印象的でした。

また、去年新宿での「トゥーランドット」のティムール役が記憶に新しい山口俊彦さん、
今回も影の大黒柱的お父さん役でしたが、
この方、17年も続くこの区民オペラの代表者との事でビックリしました。
そしてパンフレットにはノルマ役のカヴァーとして大隈智佳子さんのクレジットがありました。
彼女は何年か前の「コシ・ファン・トゥッテ」のフィオルディリージを観てから、
注目の人物ですが、幻のノルマ役となるのでしょうか。

しかしここのホール、
クロークも無ければ傘立ても無いとの事、
おかげで上演中あちこちで、
傘が倒れる音やビニールの擦れる音が聞こえて来ました。
立派なホールでオーケストラピットを掘るほどの余裕があるのですから、
傘立てぐらい置いてもらいたいものです、
こういう愛嬌が蒲田ならでは!なのでしょうか。・・・?


V.ベッリーニ オペラ 「ノルマ」
2007年10月27日 大田区民ホール 
指揮 : 森口真司 
演出 : 三浦安浩 
管弦楽 : プロムジカリナシェンテ

キャスト            
ノルマ : 吉田恭子   
アダルジーザ : 小林菜美   
ポリオーネ  : 村上敏明  
オロヴェ-ゾ : 山口俊彦   
クロティルデ  : 丸山奈津美 
フラ-ヴィオ  : 藤丸崇浩

合唱:大田区民オペラ合唱団


タグ:ベッリーニ
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