東京芸術劇場シアターオペラ「カヴァレリアルスティカーナ・道化師」

東京芸術劇場のシアターオペラ。
コンサートホールでオベラ外の演出家を呼んで、広くいろんな人たちにオペラを楽しんでもらおうという試みで、

今回は宝塚劇団の専属演出家だった上田久美子の演出でした。

上演の数日前に上演順が逆になる旨のメールがあり、「カヴァレリア・ルスティカーナ」「道化師」の一般的な順序で上演されましたが、演出家は「道化師」を先に上演したかったようです。

上演前から幕は上がっていて、全面モルタルカラーの無彩色な舞台に路上生活者がうろついています。
舞台は大阪あたりの場末の広場みたいなイメージで、出演者は歌手たちとその他にそれぞれに割り振られたダンサーが激しい肢体で感情を表現します。

歌はイタリア語ですが舞台上の字幕が上から英語・日本語と、モルタル壁の装置に関西弁の意訳が写し出され、観ても混乱・読んでも混乱でした。

「道化師」では前口上で、歌手とダンサー・関西弁訳を付ける旨の説明があったので、やはりこちらを先に上演すべきだったと思いますが、どこで横槍が入ったのでしょうか。

そんな感じなのであまり集中出来ず、簡素な舞台に体操着などの普段着並衣装で華やかさもなく散漫な感じがしていましたが、夕餉時に野球観戦で皆で阪神を応援したり、絶対勝つと盛り上がっても必ず負けて、最後は「勝ち負けはどうでもええねん。」みたいな話を挿入して関西の場末感はたっぷりでした。

カヴァレリア・ルスティカーナのあの静謐な間奏曲では浮浪者が悲しみに暮れる主役を強姦してましたよね？



2023年2月5日　東京芸術劇場シアターオペラ「カヴァレリアルスティカーナ・道化師」

指揮：アッシャー・フィッシュ

演出：上田久美子

出演

【田舎カヴァレリア・騎士道ルスティカーナ】

トゥリッドゥ ［護男］：アントネッロ・パロンビ／柳本雅寛*

サントゥッツァ [聖子]：テレサ・ロマーノ／三東瑠璃*

ローラ [葉子]：鳥木弥生／髙原伸子*

アルフィオ [日野] ：三戸大久／宮河愛一郎*

ルチア [光江] ：森山京子／ケイタケイ*

【道化師】

カニオ ［加美男］：アントネッロ・パロンビ／三井 聡*

ネッダ ［寧々］：柴田紗貴子／蘭乃はな*

トニオ ［富男］：清水勇磨／小浦一優（芋洗坂係長）*

ペッペ [ペーペー]：中井亮一／村岡友憲*

シルヴィオ [知男]：高橋洋介／森川次朗*

【両演目出演】

やまだしげき*／川村美紀子*

*ダンス出演

管弦楽：読売日本交響楽団

合唱：ザ・オペラ・クワイア

児童合唱：世田谷ジュニア合唱団