新国立劇場オペラ研究所「カルメル会修道女の対話」 [オペラぁ!]
新国立劇場のオペラ研修所公演による
オペラ 「カルメル会修道女の対話」
新国立劇場というオペラを学ぶのに恵まれた環境の中で、
毎年大卒等の若手5人が入所し3年間の研修を受け、
この公演が研修所の成果発表の場となっています。
卒業生の中には、
林美智子や与那城敬など、
既に第一線で活躍している人たちもいます。
今回は第9~11期生による公演でした。
スランシス・プーランク作曲の「カルメル会修道女の会話」は、
1957年にミラノ・スカラ座でイタリア語初演、同年パリ・オペラ座で再演されています。
ストーリーはフランス革命の渦中のパリ、
貴族の小心令嬢が社会心身の不安から修道院に入りますが、
宗教迫害など革命の波に翻弄され、
最後には革命派の議会裁判で死刑を言い渡され、
16人の修道女が次々と断頭台の露と消えていくというもの。
ギロチンの音とだんだん小さくなっていく聖歌が印象的ですが、
史実を伴っているゆえに、
壮絶かつ生々しく、何とも後味の悪い余韻が後を引くオペラです。
演出はミニマルな舞台装置と照明の効果で、
リアルな状況描写を観客の想像力に託すようなかたちです。
最後にもギロチンの音は聞こえても、そのモノ自体は出て来ません。
ブツ切れのストーリー展開を薄暗い紗幕越しの人の動きで関連づけたり、
演出家のセンスの良さが伺えます。
研修生の舞台は初々しく新鮮な緊張感がありましたが、
やはり歌うので精一杯というか、
まだまだ演技不足や感情を歌に乗せきれない所が見られ、
ストーリーが細切れになっている作品の性質もあり、
観ていてなかなか集中力が維持出来ませんでした。
そんな中、
修道院長役の小林紗季子さんとコンスタンス修道女役の鷲尾麻衣さんは、
しっかりした役作りで舞台を盛り上げていました。
研修期間が長い程、実力が付いていくという事でしょうか、
研修生の将来の活躍に大きく期待したいところです。
今回は中劇場での公演でしたが、
最前列だったため、舞台上の字幕の位置が高すぎて見えなかったのが残念でした。
研修生も大切ですが、観客も大切にして欲しいものです。
2009年3月13日
新国立劇場オペラ研修所公演 「カルメル会修道女の対話」
New National Theatre Opera Studio
Francis Poulenc: 「DIALOGUES DES CARMELITES」
【作曲】F. プーランク
【台本】ジョルジュ・ベルナノスによるテキストより
【指揮・音楽指導】ジェローム・カルタンバック
【演出・演技指導】ロベール・フォルチューヌ
【ヘッド・コーチ】ブライアン・マスダ
キャスト
【ド・ラ・フォルス侯爵】 駒田 敏章
【ブランシュ・ド・ラ・フォルス】 上田 純子
【騎士】 城 宏憲
【マダム・ド・クロワッシー】 小林 紗季子
【マダム・リドワーヌ】 中村 真紀
【マザー・マリー】 堀 万里絵
【コンスタンス修道女】 鷲尾 麻衣(第7期修了生)
【マザー・ジャンヌ】 茂垣 裕子(賛助出演)
【マチルド修道女】 東田 枝穂子
【司祭】 糸賀 修
【平第1の人民委員】 村上 公太(第6期修了生)
【第2の人民委員】 駒田 敏章
【看守】 近藤 圭
【ティエリー(従僕)】 能勢 健司
【ジャヴリノ(医師) 】 能勢 健司
【役人】 駒田 敏章
【管弦楽】東京ニューシティ管弦楽団
難しそうな演目をやるんですね
by miku (2009-03-15 22:52)