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昭和音大オペラ「ピーア・デ・トロメイ」 [オペラぁ!]

a0000000154_p1_s1_f_image_1.jpgピーア・デ・トロメイは、
1837年にヴェネツィアで初演。
多作なドニゼッティの中では、
どちらかというとマイナーな作品です。

イタリア・シエナ地方トロメイ家のピーアが、
政略結婚で嫁いだ先はトスカーナ地方ピエトラ家。
しかし戦争で両家は敵対し、
ピーアの弟は捕らえられている。
兄弟の密通を不貞と勘違いしたピーアの夫ネロは、
嫉妬に狂い妻の毒殺を命じる。
不実が晴れた時には毒杯を飲んでいて、
時すでに遅し。
敵対する夫ネロと弟の前で平和を訴え息絶える。
という、
典型的なイタリアオペラのストーリー展開。


昭和音楽大学のオペラ公演は、
独唱を卒業生が、
合唱と演奏は学生が担って行われました。

大学オペラといいながら、ここの舞台は本格的。
2008年の「夢遊病の娘」の時も感じましたが、
とにかくホールの設備、舞台が贅沢。
http://turlinco.blog.so-net.ne.jp/2008-10-13

今回も、
抽象演出ながら、
半透明に透ける金属メッシュのパネルの上げ下げとライティングで、
城塞から牢獄まで巧みに表現。
階段などで舞台を立体的に演出するのは常套手段ですが、
あえて人の動きを平面に限定、
上部にたっぷりした空間を取ることで、
かえってダイナミックな舞台演出となっています。

また、目を引く装置が少ない分、
キャストの動きもごまかしが効きません。
この演出家のマルコ・ガンディーニ、
調べているとミラノ・スカラ座でもフランコ・ゼッフィレッリの再演演出をしていました。
http://turlinco.blog.so-net.ne.jp/2005-06-13
大人数のコーラスを効果的に動かし、
各シーンを耽美的に演出。
そしてその細かい細工の入った優美な衣装の素晴らしさも、
シンプルな装置とあいまって際立っていました。

ピーアを演じた庄司奈穂子は、
その繊細な肢体で悲しみに暮れる主人公を熱演、
難易度の高い歌唱も情感たっぷりに聴かせました。

また、
ネッロ役水野洋助の存在感ある立ち振る舞いや、
ギーノ役駿河大人のテノールも印象的、
数と若さに力を借りた合唱も身に迫る迫力がありました。

学生主体のオーケストラは、
松下京介の緻密な指揮に、時々外れる金管はご愛嬌。
カーテンコールでのキャストと奏者の顔に表れた達成感に、
惜しまぬ拍手を送りました。


2010年10月10日 昭和音楽大学オペラ「ピーア デ トロメイ」
 
【会 場】 昭和音楽大学「テアトロ・ジーリオ・ショウワ」  

【作曲】 カエターノ・ドニゼッティ
【台本】 サルヴァトーレ・カンマラーノ

【スタッフ】
指揮:松下 京介
演出:マルコ・ガンディーニ(Marco Gandini)
美術:イタロ・グラッシ(Italo Glassi)
衣装:シルヴィア・アイモニーノ(Silvia Aymonino)
管弦楽:昭和音楽大学管弦楽団
合唱:昭和音楽大学合唱団

【キャスト】
ピーア : 庄司 奈穂子
ネッロ : 水野 洋助
ギーノ : 駿河 大人
ロドリーゴ : 山﨑 智世
ランベルト : 上野 裕之    
ウバルド :  高嶋 康晴    
ピエロ : 小田桐 貴樹   
ビーチェ : 中畑 有美子 
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コメント 1

dezire

こんにちは。時々訪問させていただき、記事を楽しく拝見しています。
ドニゼッティの「ピーア・デ・トロメイ」は名前は聞いたことがありますが、まだ見たことのない舞台なので、興味深く読ませて頂きました。
ヴェネツィアで初演されたのですね。

ヴェネツィアといえば、今月の初めに行ってきました。オペラは聴いていませんが、ヴェネツィアの思い出をブログに書きましたのでぜひ読んで見てください。
http://desireart.exblog.jp/11437327/#11437327_1
私のブログにもコメントいただけると嬉しいです。
最初に行ったフィレンツェの思い出も乗せています。
ま、ベニス2日目も続けて載せて行きますのでよろしくお願いします。

by dezire (2010-10-17 19:35) 

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