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藤原歌劇団 オペラ「ルチア」 [オペラぁ!]

Luciademo.jpgドニゼッティ作曲のオペラ「ルチア」は、
軽快な喜劇の名作オペラ「愛の妙薬」発表の3年後、
1835年にナポリのサンカルロ劇場で初演されています。
主人公のルチアは兄の政治的策略の犠牲となって、
恋人を失い、政略結婚をさせられ、
更に夫を刺殺ののちに気が狂って息絶える、
そして恋人もルチアが死んだ事を知って自害する。
そんな壮絶な悲劇が、
重唱と合唱を織り交ぜながら、
厚いオーケストラで奏でられます。
悲劇へ突進する雄雄しい舞台進行は、
後のヴェルディに受け継がれ、
今でもイタリアオペラの王道となっています。

今回の藤原歌劇団の公演は岩田達宗の演出。
暗い舞台の中央には奥に向かって細く登り勾配の付いた坂、
両サイドと上から赤いパネルが上下左右して舞台に変化を与えています。
ちらしにもあるように、
赤と黒が演出のテーマになっているようですが、
赤は血、黒は闇と策略を表現しているのでしょうか。
シンプルな舞台をパネルの動きと照明で展開していく演出は、
ローコストながらハイパフォーマンス、
最大限の効果を上げています。

そして、
ストーリーと共に歌の絡み合いも壮絶。
特に第2幕の幕切れ、
婚礼の場に恋人が乗り込んでくる修羅場での、
婚礼の大合唱の中、
ソリストたちがそれぞれに想いを歌う6重唱は圧巻、
盛り上がりは絶頂に達します。
演出もフラッシュバックのストップモーションで、
幕間への余韻を残しました。

また、
夫を殺して気が狂ってしまう主人公ルチアを歌ったのは佐藤美枝子。
繊細かつ明瞭な歌声をホールに響きかせました。
静まり返った舞台での、フルートとの1対1の掛け合いも絶妙、
オーケストラのパートでもあれほど緊張する場面は少ないのではないでしょうか。

坦々とイタリアオペラを上演し続ける藤原歌劇団、
ちらしによると、
9月にはロッシーニの権威アルベルト・ゼッダの指揮で「セビリヤの理髪師」公演だそうです。
カーテンコールの方法など伝統を守り続けるのは大いに結構ですが、
ホームページの方をもう少し充実出来ないのでしょうか。


2011年3月5日 藤原歌劇団 オペラ 「ルチア」

ドニゼッティ作曲 

会場 : 東京文化会館

公演監督 : 岡山廣幸
指揮 : 園田隆一郎
演出 : 岩田達宗
<キャスト>          
ルチア : 佐藤美枝子 
エドガルド : 村上敏明
エンリーコ : 谷友博 
ライモンド : 彭康亮  
アルトゥーロ : 川久保博史  
アリーサ : 牧野真由美 
ノルマンノ : 所谷直生 

合唱 : 藤原歌劇団合唱部
演奏 : 東京フィルハーモニー交響楽団

主催 : 財団法人日本オペラ振興会・社団法人日本演奏連盟

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