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新国立劇場 オペラ 「サロメ」 [オペラぁ!]

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新国立劇場のアウグスト・エファーディング演出のサロメ公演は2008年以来3年ぶり。
公演レビューはこちら↓
http://turlinco.blog.so-net.ne.jp/2008-02-07
今年の2月にはペーター・コンビチュニーの奇想読替え演出による二期会公演もありました。
公演レビューはこちら↓
http://turlinco.blog.so-net.ne.jp/2011-02-23

エファーディングのサロメは、
ホール全体が麻薬に犯されているような阿片窟的かつ幻想的な舞台で、
シュトラウスの音楽にぴったりと寄り添って進行、
サロメの正統解釈による王道的な演出です。

全編のハイライトは終盤、サロメの「7枚のヴェールの踊り」ですが、
この物語の要となる役はやはり預言者ヨハナーン。
サロメの羨望の的であり、領主ヘロデからは畏敬の存在、
そしてヘロデの後妻ヘロディアスの憎悪の対象として扱われる要役を演じたのは、
2008年公演と同じくバリトンのジョンヴェーグナー。
絞り出すようなざらついた声が不気味な魅力を放ち、
序盤古井戸からの発声だけで、既にまわりを圧倒しています。
さらには、
井戸から上がって来てからもサロメを虜にするのに十分なミステリアスなオーラを発し、
舞台の緊張感を一気に高めます。

ここで気の毒なのはサロメに心を寄せる衛兵隊長のナラボート、
サロメに頼まれヨハナーンを井戸から出してあげますが、
サロメがヨハナーンに心酔で全く相手にされないため自殺。
さらに領主ヘロデはナラボートの死を悼むでもなく、
血が不吉だといって遺体を片付けさせてしまいます。
幕開け以降、オロオロと舞台の影からサロメを見つめていたナラボート、
そして、その危険な恋を憂慮していた小姓の心配が現実のものとなってしまいました。
小姓はアルトが歌いますがナラボートへ同性愛を寄せるヘロディアス付きの男で、
最後には恋敵サロメへ剣を突き立てて幕となります。
エファーディングは、
常の舞台に顔を出している小姓とナラボートのストーリーも演出していたようです。

今回の演奏は東京フィルハーモニー交響楽団。
指揮は劇場芸術監督の尾高忠明が体調不良で降板したため、
2008年に二期会の「ナクソス島のアリアドネ」を指揮した、
オーストリアのベテラン、ラルフ・ワイケルトに交代。
艶やかなシュトラウスの甘美な音楽を堪能出来ました。


2011年10月12日 新国立劇場 オペラ 「サロメ」
Richard Strauss : Salome

スタッフ
【指 揮】ラルフ・ヴァイケルト(Ralf Weikert)
【演 出】アウグスト・エファーディング(August Everding)
【美術・衣裳】ヨルク・ツィンマーマン(Jörg Zimmermann)

キャスト
【サロメ】エリカ・ズンネガルド(Erika Sunnegårdh)
【ヘロデ】スコット・マックアリスター(Scott MacAllister)
【ヘロディアス】ハンナ・シュヴァルツ(Hanna Schwarz)
【ヨハナーン】ジョン・ヴェーグナー(John Wegner)
【ナラボート】望月哲也(Mochizuki Tetsuya)
【ヘロディアスの小姓】山下牧子(Yamashita Makiko)
【5人のユダヤ人1】大野光彦(Ono Mitsuhiko)
【5人のユダヤ人2】羽山晃生(Hayama Kosei)
【5人のユダヤ人3】加茂下稔(Kamoshita Minoru)
【5人のユダヤ人4】高橋淳(Takahashi Jun)
【5人のユダヤ人5】大澤建(Osawa Ken)
【2人のナザレ人1】大沼徹(Onuma Toru)
【2人のナザレ人2】秋谷直之(Akitani Naoyuki)
【2人の兵士1】志村文彦(Shimura Fumihiko)
【2人の兵士2】斉木健詞(Saiki Kenji)
【カッパドキア人】岡昭宏(Oka Akihiro)
【奴 隷】友利あつ子(Tomori Atsuko)

【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団(Tokyo Philharmonic Orchestrawa)


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