江國香織「神様のボート」 [ブックぅ!]
次々にまわって来る「読みまわし文庫」から!
江國香織「神様のボート」
澄ました感じがしてちょっと苦手かも、
と思っていた江國香織でしたが、
淡々としていながらも鋭い状況描写と感情表現で、
結構面白く読み切りました。
およそ生活感がなく協調性のない母と娘が、
順番に語る形で進んでいく物語。
現実離れしたストーリーなのに、
話し手のはっきりした嗜好は超現実的。
浮世離れしたいつも変わらない母親の生活と、
成長して変わっていく子供の関係が、
読み進むうちに微妙になってきます。
小学生だった娘も中学生になって家で勉強していると、
「ママはあたしが絵をかいていたり、おやつを食べていたり本を読んでいたり、
下手なピアノを弾いている方がうれしのだ。」と思ったり、
親を皮肉に感じながら成長する子供を描きつつ、
こっそり社会批判も忍ばせてたりして、ドキッとするところもありました。
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