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東京二期会 オペレッタ「チャールダーシュの女王」 [オペラぁ!]

無題.JPG東京二期会の「チャールダーシュの女王」
あちこちに小技を散りばめた楽しい舞台は、
演出は田尾下哲、
今日本で最も旬な演出家ではないでしょうか。
2012年に同じく東京二期会で上演された、
「カヴァレリアルスティカーナ」「パリアッチ」では、
気転の効いた演出で大いに舞台を沸かせました。
公演レビューはこちら↓
http://turlinco.blog.so-net.ne.jp/2012-07-15


「チャールダーシュの女王」は、
ハンガリー出身のエメーリヒ・カールマンの作曲で、
1915年にウィーンで初演されています。
内容は公爵の御曹司と劇場歌手の身分違いによる叶わぬ恋の物語。

3幕構成の舞台は、
白黒市松模様の大理石張りをイメージした床の奥に、
各幕、劇場のステージだったり、邸宅の奥の間へ続く通路だったり、
星空が見えるホテルのバルコニーが配置されます。

幕開けに挿入裏れた寸劇では、
下りた緞帳の裏が舞台で客席側が舞台裏という設定で、
幕の手前で疲労困憊の人気歌姫が貧血気味に椅子に崩れかかり、
わずかに押し開いた緞帳から一歩中へ入ると、
照明を浴びて両手をシャキっと上げ、
舞台奥で喝采する観客に応えるというもの。

また後半には、
公爵夫人がカルメンの「ハバネラ」を歌い出すという一幕もあり、
演出家のエンターテイメント精神を発揮。
幕切れの大団円も、
大喝采で幕が下りたと思えば、また幕が上がって音楽が再開されたりします。

そして今回の舞台の特徴は全編に繰り広げられるダンス。
振付のミキホ・ハルバートのカンパニーと思われる8人のダンサーと共に、
コーラス等歌手も一緒になって踊ります。
似たような衣装で似たようなダンスを踊るので、
一見、全員がダンサーのように見えるのですが、
高度なダンスを披露しているのは目立つ位置で踊っている8名のみ。
比べて見ると背筋や手足の伸ばし方が全く違うのですが、
気にせず見ていればそれなりで、総勢による迫力を感じます。

また、
ストーンとした衣装に金銀のアクセサリーを施したウィーン分離派を思わせる、
小栗菜代子による衣装も、
これからの女性の台頭を予感させるようなイメージが舞台に合っていました。
主人公シルヴァ役の腰越満美も安定感のある歌はもちろん、
その衣装と立ち振る舞いが孤高の芸術家と言った感じで引き付けられました。
ボニ役の村上公太の軽い身のこなし、フェリ・バーチ役の小森輝彦の伊達男ぶり等、
脇役の活躍も大いに舞台を彩りました。
日本語上演はセリフのテンポも良く観客との一体感を生みますが、
歌は原語の方が耳に馴染むように思いました。

東京交響楽団を指揮したのは若き指揮者三ツ橋敬子。
当初女性らしく緻密に音を重ねていくような感じにおもっていましたが、
意外にダイナミックな音も引き出し、
チャールダーシュの緩急ある音楽も、よくメリハリが出ていました。
主人公が2人だけになった時に何度か独奏されたチェロも印象的でした。


2014年11月22日 東京二期会 オペレッタ「チャールダーシュの女王」
EMMERICH KÁLMÁN DIE CSÁRDÁSFÜRSTIN
台本:レオ・シュタイン及びベーラ・イェンバッハ
作曲:エメリッヒ・カールマン
会場: 日生劇場

スタッフ
指揮:三ツ橋敬子
演出:田尾下 哲
振付:キミホ・ハルバート
装置:幹子 S.マックアダムス
衣裳:小栗菜代子
照明:沢田祐二
振付:キミホ・ハルバート
合唱指揮:安部克彦
演出助手:太田麻衣子
舞台監督:村田健輔
公演監督:加賀清孝

キャスト
シルヴァ・ヴァレスク(チャールダーシュの女王)   腰越満美 
エドウィン・ロナルト(ヴァイラースライム公爵の息子)   小貫岩夫
シュタージ(シュタージ伯爵令嬢)    湯浅桃子 
ボニ(ボニ・カンチァヌ伯爵)   村上公太 
フェリ・バーチ(フォリ・フォン・ケルケス)    小森輝彦 
レオポルト・マリーア・ ヴァイラースライム公爵   志村文彦 
アンヒルテ(ヴァイラースライム公爵夫人)   加納悦子 

合唱: 二期会合唱団
管弦楽: 東京交響楽団

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