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新国立劇場 オペラ 「ドン・カルロ」 [オペラぁ!]

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新国立劇場jの「ドンカルロ」は2006年以来8年ぶり2度目の再演。
2006年の公演レビューはこちら↓
http://turlinco.blog.so-net.ne.jp/2006-09-14
今年の2月には東京二期会の公演もありました↓
http://turlinco.blog.so-net.ne.jp/2014-02-20

十字のスリットを構成する壁が縦横無尽に移動して進行する舞台。
マルコ・アルトゥーロ・マレッリによる幾何学的理詰めの抽象演出は、
照明の効果と合わせて、
精緻なパズルが音楽に合わせてピタッとはまっていくような爽快感があります。
幕開け、舞台を囲む大きな閉じたキューブから壁が開いて展開し、
最後、登場人物を舞台に置いたままさっと閉じて最初のキューブに戻る、
計算され尽くされたスピード感で聴衆を舞台に釘付けにします。
が、
無機質な舞台は冷たく情緒に欠ける上に、
真正面から見ないと最大限の効果を感じられないという難点もあります。

また今回は歌手陣が相当揃った!感じでした。
注目していたのはメゾソプラノのソニア・ガナッシ、
エボリ公女役は歌唱技巧だけが求められる脇役と感じていましたが、
余裕のあるたっぷりした歌唱で役柄の存在感を強く示しました。

それ以外でも、表題役テノールのセルジオ・エスコバル、
幕開けの第1声から「すごい!」という感じ。
とにかく声が良く出る、伸びるで、
こんなに飛ばして「大丈夫?」と思っても失速しません。
それに対抗するバスで父王役のラファウ・シヴェク、
こちらも低音でこんなに「響かせられるの?」と思う程良く通る低音。
そして父王の妻エリザベッタ役はセレーナ・ファルノッキア、
前出の3人と好対照な繊細で薄氷のようなソプラノにホールの空気も張り詰めました。

前回は宗教裁判長役の妻屋秀和が朗々としたバスの歌唱と、
杖に寄り掛かった迫真の演技が際立っていましたが、
同人同役だったためか今回はあまり印象に残りませんでした。

厚いコーラスが圧巻だったのは最近の新国立劇場合唱団ならでは?
8年前にはここまで成熟していなかったように感じました。


2014年11月27日 新国立劇場 オペラ 「ドン・カルロ」
Don Carlo Music by Giuseppe VERDI

スタッフ
【指揮】ピエトロ・リッツォ(Pietro RIZZO)
【演出・美術】マルコ・アルトゥーロ・マレッリ(Marco Arturo MARELLI)
【衣裳】ダグマー・ニーファイント=マレッリ(Dagmar NIEFIND-MARELLI)
【照明】八木麻紀

キャスト
【フィリッポ二世】ラファウ・シヴェク(Rafal SIWEK)
【ドン・カルロ】セルジオ・エスコバル(Sergio ESCOBAR)
【ロドリーゴ】マルクス・ヴェルバ(Markus WERBA)
【エリザベッタ】セレーナ・ファルノッキア(Serena FARNOCCHIA)
【エボリ公女】ソニア・ガナッシ(Sonia GANASSI)
【宗教裁判長】妻屋秀和
【修道士】大塚博章
【テバルド】山下牧子
【レルマ伯爵/王室の布告者】村上敏明
【天よりの声】鵜木絵里

【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団


タグ:ヴェルディ
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