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新国立劇場 オペラ「ファルスタッフ」 [オペラぁ!]

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新国立劇場の「ファルスタッフ」は、
ジョナサン・ミラーの正統演出で2004年の初演以来初めての再演の初日。

平面がT字型の2組の壁をT字の交点を軸にして回転させ、
物語の進行に合わせて舞台を途切れさせる事なく転回させます。
壁や家具がぶつかる事なく絶妙なタイミングで動く様は圧巻で、
ゴミ収集車が大きな羽根をゆっくり回してゴミを一掃するような爽快感があります。
そんなダイナミックさ以外は古典的な書割と衣装で、
オペラというよりは原作者シェークスピアの芝居を見ているような感じです。

ファルスタッフ役を歌ったのはグルジア生まれのバリトン、ゲオルグ・ガグニーゼ。
酒に溺れていても女を追いかけ回す樽腹老騎士、でも何だか憎めない役柄を好演、
お目当てのアリーチェの声を真似たソプラノも聴かせます。
逃げ隠れた洗濯カゴからいつの間にか消えている、というマジックも披露しました。

アリーチェ役はポーランド生まれのアガ・ミコライ。
新国立劇場のドン・ジョヴァンニに3度出演していますが、
大柄で存在感は抜群、でもちょっとまわりとのバランスが・・・。

その娘ナンネッタ役は安井陽子。
恋人フェントンへの愛を歌う透き通るようなソプラノは、
触れると壊れそうな繊細さで若くて純粋な心を感じさせます。

ヴェルディ最後のオペラは、
名曲と言われるアリアもなく、
人々の掛け合いがアンサンブルとなって混じり合い、
オペラ芝居的に進行し、
最後は「世の中は全て冗談・・・」とみんなで笑って、
世を達観した巨匠の作品にふさわしい幕切れでした。


初演時のキャストはこちら↓
http://turlinco.blog.so-net.ne.jp/2004-07-03

2015年12月3日 新国立劇場 オペラ「ファルスタッフ」
Giuseppe VERDI Falstaff

スタッフ
【指揮】イヴ・アベル(Yves ABEL)
【演出】ジョナサン・ミラー(Jonathan MILLER)
【美術・衣裳】イザベラ・バイウォーター(Isabella BYWATER)
【照明】ペーター・ペッチニック(Peter PETSCHNIG)
【再演演出】三浦安浩
【舞台監督】大澤 裕

キャスト
【ファルスタッフ】ゲオルグ・ガグニーゼ(George GAGNIDZE)
【フォード】マッシモ・カヴァレッティ(Massimo CAVALLETTI)
【フェントン】吉田浩之
【医師カイウス】松浦 健
【バルドルフォ】糸賀修平
【ピストーラ】妻屋秀和
【フォード夫人アリーチェ】アガ・ミコライ(Aga MIKOLAJ)
【ナンネッタ】安井陽子
【クイックリー夫人】エレーナ・ザレンバ(Elena ZAREMBA)
【ページ夫人メグ】増田弥生

【合唱指揮】三澤洋史
【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
【芸術監督】飯守泰次郎

タグ:ヴェルディ
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