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三枝成彰 オペラ「狂おしき真夏の一日」 [オペラぁ!]

171027-240.jpgオペラ「狂おしき真夏の一日」世界初演!

三枝成彰の最新オペラは、
台本が作家林真理子の書下ろし、
演出は作詞家でアイドルプロデューサーの秋元康、
ドラマトゥルクに田尾下哲
舞台美術が千住博という豪華制作スタッフによるもの。

物語は、
鎌倉辺りの海岸付近で診療所を営むドクトル大石。
長男は画家志望でパリへ研鑽へ行ったものの、
芽が出ず、フランス女を連れて帰国し、
カフェでも開く算段。
そして次男はゲイ。
そんな息子達を嘆く自分も診療所の看護婦と、
男女の関係を続けています。
そして更に息子の彼女にも手を出そうとします。
ドクトルの妻はかつては美貌の持ち主でしたが、
今ではドクトルは見向きもしません。
そこへ次男の恋人が妻へ秋波を寄せ、事態はややこしくなっていきます。
「フィガロの結婚」を下敷にした荒唐無稽の浮気劇で、
最後はみんな元の鞘に収まって、
「世の中はいいようにまわっている。」と、大合唱の大団円で幕となります。

アイドルコンサート風ノリの演出は、
聴衆に縁日に売っているような青く光るサイリウムライトを渡し、
幕前にホール全体の照明が落ちると、
客席の青い光の揺らぎが海の波頭を表現。
まわりから「おぉ~!」という声があがりました。
幕開けも、
ゲイカップルがワンピースの水着を着て客席通路から登場、
指揮者の挨拶は3幕ともありませんでした。
幕切れでは紅白歌合戦の最後みたいな巨大クラッカーが鳴らされ、
オペラ鑑賞というよりは、お祭り参加といった感じでした。

千住博の舞台美術は、
木の階段と木の物干場のような四角いスペースがそれぞれいくつか配され、
簡素でノスタルジックな味わいながら貧乏臭くもありません。
そしてその位置を変えたり、小道具や照明の変化で場が進行していきます。

三枝成彰の音楽は、
前作の「Jr.バタフライ」のような抑制はなく、
自由に音楽を作っている感じで、
無調性あり、ジャズありでセリフをテンポ良く挟んだり、
息子が部屋の広さを測る時には「フィガロの結婚」の同じメロディで歌わせました。

歌手はソプラノ3人とカウンターテナーを要する高音オペラ。
妻役はフィガロでいうと伯爵夫人、佐藤しのぶの堂々とした立ち居振る舞い。
フランス人は伯爵に口説かれるスザンナ?小川里美も高音は綺麗。
看護婦役は小林沙羅、
次男の恋人はカウンターテナーの村松稔之、これはフィガロのケルビーノか。
男声ではやはりジョン・健・ヌッツォ、
安定していて、日本語も上手と思ったら東京出身だそうです。

2回の休憩を挟んで約3時間の上演。
4日間公演の3日目でしたが、
客席はほぼ満員で、
ホワイエには50以上もの献花が!
主に関係者からのものですが「安倍晋三」というのもありました。


三枝成彰:オペラブッファ「狂おしき真夏の一日」
~「フィガロの結婚」「ばらの騎士」へのオマージュ~

2017年10月29日 東京文化会館大ホール

作曲:三枝成彰
台本:林真理子
指揮:大友直人
演出:秋元康
美術:千住博
コレペティトゥートル:森島英子
ドラマトゥルク:田尾下哲
衣装コーディネーター:斎藤牧里
舞台監督:山田ゆか(ザ・スタッフ)

キャスト
大石恭一:大島幾雄
大石陽子:佐藤しのぶ
大石太郎:ジョン・健・ヌッツォ
フランシーヌ:小川里美
大石次郎:大山大輔
ユウキ:村松稔之
エミコ:小林沙羅
フミエ:坂本朱
リサ:小村知帆

エレクトーン:清水のりこ
合唱:六本木男声合唱団ZIG-ZAG
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団


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