新国立劇場 オペラ「愛の妙薬」 [オペラぁ!]
ドニゼッティのオペラ「愛の妙薬」、
ストーリー、曲、歌のどれを取っても気軽に楽しめる、
イタリアオペラの代表的作品です。
昨年には藤原歌劇団の公演、
2年前にはミラマーレ・ムジカの上演がありました。
http://turlinco.blog.so-net.ne.jp/2008-09-05
新国立劇場の新プロダクションは、
チューザレ・リエヴィの演出。
美術はグリシャ・アサガロフの演出時に、
よく参加しているルイジ・ペーレゴ。
イタリア人コンビによるイタリアオペラの舞台です。
開演前の舞台にはカラーパレットにアルファベットを並べたような緞帳が下ろされています。
2階席から強い照明が当てられて絹織りのように贅沢に光る様子を眺めながら、
開演を待つうちに、未発表の舞台への期待は、いやが上にも高まります。
曲が始まると、
その緞帳は実は紗幕で、照明の具合で舞台がだんだん透けていきます。
舞台の両袖の壁は「トリスタンとイゾルデ」と書かれた巨大な本の背表紙になっていて、
中央にはタイトルの「L´elisir d´amore」から「E L I S i R」の文字が、
オブジェ的立体にして並べられています。
インテリ村娘アディーナが文字の読めない村人達に読んで聞かせる「トリスタンとイゾルデ」の、
惚れ薬が話の発端になっているので、
「本」と「活字」を演出のテーマにしているようです。
袖の巨大表紙が左右に動いたり、文字のオブジェが変形したり、
本を重ねてステージを造ったりしながらストーリーは進行します。
読み替えはないながらも、抽象演出の上にはっきりしたコンセプトで、
新鮮味のある舞台でしたが、
コンセプトに縛られすぎて作品が本来持っているのびのびした雰囲気が、
消されてしまっている気もしました。
また、アールデコ調の美しいセットに原色の髪や衣装の取り合わせにも、
いくらか違和感を感じましたが、
登場人物と本の世界との次元の違いを表現したかったのかも知れません。
新国立劇場が絶賛するテノールのジョセフ・カレヤは、
アディーナに恋する冴えない農夫ネモリーノ役。
確かにスゴい声、劇場を乗っ取りそうな勢いでした、
大きな体躯で、その朴訥な振る舞いは演技なのかどうか疑問も残りましたが。
アディーナ役はソプラノのタチアナ・リスニック、
名前からするとロシアの出身でしょうか。
声だけでなく容姿も美しく、気位の高いインテリ娘役にぴったりです。
ネモリーノの恋敵の軍曹ベルコーレ役はバリトンの与那城敬。
新国立劇場研修所の5期生の若手ですが同役は大抜擢、
大劇場ではまだまだ声の届かない所もありますが、
今後大いに期待したい歌手です、NHKのニューイヤーオペラコンサートにも出ていました。
http://turlinco.blog.so-net.ne.jp/2010-01-04
4期生のソプラノ九嶋香奈枝も歌の出番は少ないながらも、
コケティッシュな魅力でアディーナの嫉妬を買うのに大きく貢献していました。?
薬売りの詐欺師ドゥルカマーラ役はバスのブルーノ・デ・シモーネ、
昨年の新国立劇場「チェネレントラ」でも出ていた名脇役。
ベテランらしく「若い女性を連れて飛行機で登場!」は笑えました。
飛行機があるという事はやはりアールデコの1920年代の時代設定でしょうか。
ソリストはたったの5人ながら、
若いキャスティングで新鮮さとエネルギーを感じる舞台でした。
そしてコーラスも力が入っていました。
文字も読めない村人にこんなにキレのある動きと合唱が出来るの?
と、ツッコミを入れたいぐらいでした。
指揮のパオロ・オルミによるところも多いかもしれませんが、
全体にはっきりと音を刻んでいる感じ、
もうちょっと力を抜いても良かったのかも・・・。
2010年4月15日 新国立劇場 オペラ「愛の妙薬」
Gaetano Donizetti:L´elisir d´amore
ストーリー、曲、歌のどれを取っても気軽に楽しめる、
イタリアオペラの代表的作品です。
昨年には藤原歌劇団の公演、
2年前にはミラマーレ・ムジカの上演がありました。
http://turlinco.blog.so-net.ne.jp/2008-09-05
新国立劇場の新プロダクションは、
チューザレ・リエヴィの演出。
美術はグリシャ・アサガロフの演出時に、
よく参加しているルイジ・ペーレゴ。
イタリア人コンビによるイタリアオペラの舞台です。
開演前の舞台にはカラーパレットにアルファベットを並べたような緞帳が下ろされています。
2階席から強い照明が当てられて絹織りのように贅沢に光る様子を眺めながら、
開演を待つうちに、未発表の舞台への期待は、いやが上にも高まります。
曲が始まると、
その緞帳は実は紗幕で、照明の具合で舞台がだんだん透けていきます。
舞台の両袖の壁は「トリスタンとイゾルデ」と書かれた巨大な本の背表紙になっていて、
中央にはタイトルの「L´elisir d´amore」から「E L I S i R」の文字が、
オブジェ的立体にして並べられています。
インテリ村娘アディーナが文字の読めない村人達に読んで聞かせる「トリスタンとイゾルデ」の、
惚れ薬が話の発端になっているので、
「本」と「活字」を演出のテーマにしているようです。
袖の巨大表紙が左右に動いたり、文字のオブジェが変形したり、
本を重ねてステージを造ったりしながらストーリーは進行します。
読み替えはないながらも、抽象演出の上にはっきりしたコンセプトで、
新鮮味のある舞台でしたが、
コンセプトに縛られすぎて作品が本来持っているのびのびした雰囲気が、
消されてしまっている気もしました。
また、アールデコ調の美しいセットに原色の髪や衣装の取り合わせにも、
いくらか違和感を感じましたが、
登場人物と本の世界との次元の違いを表現したかったのかも知れません。
新国立劇場が絶賛するテノールのジョセフ・カレヤは、
アディーナに恋する冴えない農夫ネモリーノ役。
確かにスゴい声、劇場を乗っ取りそうな勢いでした、
大きな体躯で、その朴訥な振る舞いは演技なのかどうか疑問も残りましたが。
アディーナ役はソプラノのタチアナ・リスニック、
名前からするとロシアの出身でしょうか。
声だけでなく容姿も美しく、気位の高いインテリ娘役にぴったりです。
ネモリーノの恋敵の軍曹ベルコーレ役はバリトンの与那城敬。
新国立劇場研修所の5期生の若手ですが同役は大抜擢、
大劇場ではまだまだ声の届かない所もありますが、
今後大いに期待したい歌手です、NHKのニューイヤーオペラコンサートにも出ていました。
http://turlinco.blog.so-net.ne.jp/2010-01-04
4期生のソプラノ九嶋香奈枝も歌の出番は少ないながらも、
コケティッシュな魅力でアディーナの嫉妬を買うのに大きく貢献していました。?
薬売りの詐欺師ドゥルカマーラ役はバスのブルーノ・デ・シモーネ、
昨年の新国立劇場「チェネレントラ」でも出ていた名脇役。
ベテランらしく「若い女性を連れて飛行機で登場!」は笑えました。
飛行機があるという事はやはりアールデコの1920年代の時代設定でしょうか。
ソリストはたったの5人ながら、
若いキャスティングで新鮮さとエネルギーを感じる舞台でした。
そしてコーラスも力が入っていました。
文字も読めない村人にこんなにキレのある動きと合唱が出来るの?
と、ツッコミを入れたいぐらいでした。
指揮のパオロ・オルミによるところも多いかもしれませんが、
全体にはっきりと音を刻んでいる感じ、
もうちょっと力を抜いても良かったのかも・・・。
2010年4月15日 新国立劇場 オペラ「愛の妙薬」
Gaetano Donizetti:L´elisir d´amore
【作 曲】ガエターノ・ドニゼッティ
スタッフ
【指 揮】パオロ・オルミ(Paolo Olmi)
【演 出】チェーザレ・リエヴィ(Cesare Lievi)
【美 術】ルイジ・ペーレゴ(Luigi Perego)
【衣 裳】マリーナ・ルクサルド(Marina Luxardo)
【企 画】若杉 弘
【芸術監督代行】尾高忠明
【主 催】新国立劇場
キャスト
【アディーナ】タチアナ・リスニック(Tatiana Lisnic)
【ネモリーノ】ジョセフ・カレヤ (Joseph Calleja)
【ベルコーレ】与那城敬(Yonashiro Kei)
【ドゥルカマーラ】ブルーノ・デ・シモーネ(Bruno De Simone)
【ジャンネッタ】九嶋香奈枝(Kushima Kanae)
【合 唱】新国立劇場合唱団(New National Theatre Chorus)
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団(Tokyo Philharmonic Orchestra)
スタッフ
【指 揮】パオロ・オルミ(Paolo Olmi)
【演 出】チェーザレ・リエヴィ(Cesare Lievi)
【美 術】ルイジ・ペーレゴ(Luigi Perego)
【衣 裳】マリーナ・ルクサルド(Marina Luxardo)
【企 画】若杉 弘
【芸術監督代行】尾高忠明
【主 催】新国立劇場
キャスト
【アディーナ】タチアナ・リスニック(Tatiana Lisnic)
【ネモリーノ】ジョセフ・カレヤ (Joseph Calleja)
【ベルコーレ】与那城敬(Yonashiro Kei)
【ドゥルカマーラ】ブルーノ・デ・シモーネ(Bruno De Simone)
【ジャンネッタ】九嶋香奈枝(Kushima Kanae)
【合 唱】新国立劇場合唱団(New National Theatre Chorus)
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団(Tokyo Philharmonic Orchestra)
タグ:ドニゼッティ
こんにちは
おっしゃること、その通り^^と感じました。
>農夫ネモリーノ
アディーナに比べて
役柄が捉えきれないようで
ちょっともどかしかったです。
>与那城敬
>NHKのニューイヤーオペラコンサート
印象に残りました。今回出演とは知らなかったのですが、
劇場で配役を見て、思い出してちょっとうれしかったです。
ファウストの劫罰の悪魔役とは対局の役で印象が全く違いました。
マンガチックな演技もがんばって、なかなかでしたね。
by euridice (2010-04-16 13:12)
はじめまして。Odetteと申します。
与那城さんのファンをやっておりまして、「彼を見るために」
大阪から遠征いたしました。高評価を嬉しく思い、思わずコメント&TB
させていただきました!
またお邪魔させていただきます!
by Odette (2010-05-02 01:28)