2010年オペラレビューと2011年観たいオペラ [オペラぁ!]
2010年、足を運んだオペラは24本、
今年からは、
S氏のリクエストにより個人的趣味趣向と偏見に満ちたランキングを付ける事になりました。
1位
「ジークフリート」
まずは何と言ってもこちら「ニーベルングの指環」の3作目。
1年がかりの上演、ワーグナーの超大作「ニーベルングの指環」4部作を観られた達成感と、
キース・ウォーナーのダイナミックかつスタイリッシュな演出が特に素晴らしかった作品。
新国立劇場ではこのプロダクションでの上演はこれが最後らしいです。
4作目の「神々の黄昏」は映像の多用で舞台の迫力に欠けたので本作を選びました。
2位
「キャンディード」
ロバート・カーセンが演出した「キャンディード」、
アメリカの大消費時代に舞台を置き換え、
皮肉たっぷりで上質のエンターテイメント性があり完成度の高い作品。
作曲家レナード・バーンスタインの弟子でもある佐渡裕の指揮が舞台をさらにショーアップ、
2006年のパリ・シャトレ劇場での初演を実際に観ていたので個人的にも思い入れがあります。
3位
「月を盗んだ話」
新国立劇場が札幌室内歌劇場を招聘して小劇場で上演したもの。
簡素な舞台に少人数編成のアンサンブルによる演奏で、
カール・オルフの素朴な音楽が、
舞台と数の少ない客席を包み込むような一体感があり、
大劇場にはない、「観賞する」というより「体験する」といった感じの印象深い舞台でした。
4位
「ファウストの劫罰」
二期会の意欲的作品。
舞踏集団H・アール・カオスがしなやかな肉体を駆使し、
ベルリオーズの古典をシュールリアリズム的、幻想的に舞台を演出、
オペラの新たな価値を創出する力を感じさせました。
5位
「ラ・ボエーム」
アンドレアス・ホモキ演出のミニマル・ステージ。
プッチーニの名作、カルチェ・ラタンの屋根裏部屋を公園に置き換え、暖炉はドラム缶、
大きなクリスマスツリーを象徴的に扱った作品。
クリスマスの上演だったら最高のプレゼントになったはず。
ホモキ演出は新国立劇場の「フィガロの結婚」もありましたが、
この類の演出は2度目に観ると印象がグッと薄くなります。
6位
「オルフェオとエウリディーチェ」
グルックの古典オペラを、
シンプルな舞台に6人のダンサーが現代的に演出しました。
幻想的な美しいコーラスに加え、
個人的には、会場が貝殻の中で観ているように感じる、
中規模で抱擁感のある日生劇場だった事も好印象です。
7位
「タンクレーディ」
藤原歌劇団近年の恒例、
ロッシーニの権威アロベルト・ゼッダが指揮した公演。
ゼッダのロッシーニが聴けるのは無上の喜びながら、
半年前の事なのにどんな舞台だったか記憶がはっきりしません。
8位
「アラベッラ」
リヒャルト・シュトラウス音楽の再発見、
その美しい音楽に最初から最後まで耽溺出来る作品。
フィリップ・アルローの演出も、
立体感のある舞台に冴えた光の扱いが印象的でした。
9位
「ファルスタッフ」
新国立劇場研修所による研修生の舞台。
ヴェルディ最後のオペラをビートルズの楽曲をコンセプトに仕立てた演出で、
同演劇研修生が助演を勤めました。
若さ溢れる舞台は観るのも楽しく、
日本オペラの今後をも明るく感じさせてくれるものでした。
10位
「鹿鳴館」
前新国立劇場の芸術監督故若杉弘の志を継いで世界初演へ挑戦。
創作のエネルギーと苦労は評価、
しかし、
抽象演出で三島文学の耽美的世界を表現しきれなかったのは残念。
そして、
今年是非観たい舞台は、
二期会「サロメ」
ペーター・コンヴィチュニーがどんなビックリ演出を見せるか楽しみです。
新国立劇場「椿姫」
再演ですが、ヒロインのヴィオレッタをパトリツィア・チョーフィが歌います、
華やかさと儚さが表裏一体で求められる役柄には大いに感情移入出来そう。
藤原歌劇団「ルチア」
まわりが何をやろうが坦々とイタリアオペラを上演し続ける藤原歌劇団、
ドニゼッティの名作はきっと楽しい舞台となるでしょう。
新国立劇場「マノン・レスコー」
男を翻弄するヒロインの椿姫VSマノンと、
イタリアオペラ界の巨匠ヴェルディVSプッチーニ。
そしてそのロール対決ではマノン・レスコー役を、
プッチーニを得意とし、
本場イタリアで活躍中の若手スヴェトラ・ヴァッシレヴァが歌います。
行政仕分けなど厳しい日本オペラの現状ですが、
なかなかどうして、今年も目が離せません。
12/25 新国立劇場 「トリスタンとイゾルデ」
11/18 新国立劇場 「アンドレア・シェニエ」
11/14 藤原歌劇団人材育成オペラ「イル・カンピエッロ」
11/13 日生劇場 「オルフェオとエウリディーチェ」
10/19 新国立劇場 「フィガロの結婚」
10/10 昭和音大オペラ「ピーア・デ・トロメイ」
10/9 藝大オペラ「イル・カンピエッロ」
10/2 新国立劇場 「アラベッラ」
8/6 佐渡プロデュースオペラ「キャンディード」
7/16 二期会 「ファウストの劫罰」
6/24 新国立劇場 「鹿鳴館」
6/18 新国立劇場 「カルメン」
6/11 藤原歌劇団 「タンクレーディ」
5/26 新国立劇場 「影のない女」
4/15 新国立劇場 「愛の妙薬」
4/2 東京のオペラの森 「パルジファル」
3/27 神奈川県民ホール 「ラ・ボエーム」
3/18 新国立劇場 「神々の黄昏」
3/11 新国立劇場研修所 「ファルスタッフ」
2/19 東京室内歌劇場 「偽りの女庭師」
2/17 二期会 「オテロ」
2/11 新国立劇場 「ジークフリート」
2/6 藤原歌劇団 「カルメル会修道女の対話」
1/13 札幌室内歌劇場 「月を盗んだ話」
「2009年オペラレビュー」
「2008年オペラレビュー」
「2007年オペラレビュー」
こんにちは。時々訪問させていただいています。
本年もよろしくお願いします。
たくさんの作品を見てらっしゃるのですね。この中で私が鑑賞できたのは、「ジークフリート」だけが、私もすばらしい舞台だと思いました。
2位に挙げている「キャンディード」は、観たかったですね。残念です。
私は、ずっと上演を待っていたワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」を生の舞台で鑑賞できました。ブログに「トリスタンとイゾルデ」の感想やワーグナーの音楽について書きましたので、ぜひ読んでみてください。
http://desireart.exblog.jp/11874692/
ご意見、ご感想などをブログにコメントを書き込んでくださると感謝です。
by dezire (2011-01-09 17:56)
私もジークフリード、ファウストの功罪、アラベッラを見ました。
それぞれ、よかったなーと、ここを読みながら、思い出しました。
「ラ・ボエーム」は、フィガロのホモキ演出が斬新ではあったけど、
ボエームではどうかなーと思ってるうちに見逃してしまいました。
印象が薄かったという感想、想像して、うなずけます。
私は、今年、「サロメ」と「マノン・レスコー」を見る予定です。
by TaekoLovesParis (2011-01-14 20:10)