新国立劇場 オペラ「ラインの黄金」 [オペラぁ!]
新国立劇場の2015年シーズンの幕開けは、
演出はベルリンオペラの総監督を務め、
ワーグナーの本拠地バイロイトでも「リング」で世に残る演出を残し、
2000年に亡くなったドイツ人のゲッツ・フリードリヒ。
装飾を排したシンプルなステージながら、
舞台を上下動かし、
時には床を支える鉄骨もむき出しに見せるなど、
そのダイナミックな展開にはスケールの大きさを感じます。
また白煙と色を使い分けた照明、それに照明を切り取る影が、
ワーグナーの厚みのある音楽と相まって簡素な舞台を幻想的に見せます。
新国立劇場の開場以来の「リング」はキース・ウォーナーの演出で、
斬新でスタイリッシュな舞台でしたが、
同じ現代上演ながらもこちらはそぎ落としの美を追求しているようです。
歌手陣も総じていい感じでした。
火の神ローゲ役のステファン・グールドはスーツに赤いマントを羽織って(写真左)、
よろず問題解決屋さんを演じ大いに存在感を発揮、
最後には欲望の王族と化した神々の没落を嘆きます。
ラインの黄金を盗んだ罪で縄で縛られ金塊(写真右)没収となりましたが、
愛をあきらめたり、自ら黄金を集めたりと努力もしていて、
ちょっと感情移入してしまいますが、すると声まで良く聴こえます。
写真右は主神ヴォータンですが、
出来ない約束をしたり、無理やり黄金を奪ったり、
本当に神?と思う情けない役どころです。
ヴォータンの奥さんフリッカ役のシモーネ・シュレーダーも良く通る声、
この人前回は巫女のエルダ役を歌ってましたね。
今回はそのエルダ役のクリスタ・マイヤーの重量感のある歌声が染み入りました。
芸術監督飯守泰次郎自ら指揮した休憩なしの2時間45分はあっという間でした。
幕前に客席に照明が当てられていたので皇太子の列席があったようです。
シーズンの初日でしたが劇場ホワイエの床がなんだかボロボロになっていました。
ワックスで磨くつもりが汚してしまったのでしょうか?
いつまでもきれいだと思っていただけに残念でした。
2015年10月1日 新国立劇場 オペラ「ラインの黄金」
OperaDas Rheingold (The Rhinegold)
Music by Richard WAGNER
スタッフ
指揮:飯守泰次郎 Conductor : Iimori Taijiro
演出:ゲッツ・フリードリヒ Production : Götz Friedrich
美術・衣裳:ゴットフリート・ピルツ Scenery and Costume Design : Gottfried Pilz
照明:キンモ・ルスケラ Lighting Design : Kimmo Ruskela
演出補:イェレ・エルッキラ Revival Director : Jere Erkkilä
舞台監督:村田健輔 Stage Manager : Murata Kensuke
キャスト
ヴォータン:ユッカ・ラジライネンWotan : Jukka Rasilainen
ドンナー:黒田博 Donner : Kuroda Hiroshi
フロー:片寄純也 Froh : Katayose Junya
ローゲ:ステファン・グールド Loge : Stephen Gould
ファーゾルト:妻屋秀和 Fasolt : Tsumaya Hidekazu
ファフナー:クリスティアン・ヒュープナー Fafner : Christian Hübner
アルベリヒ:トーマス・ガゼリ Alberich : Thomas Gazheli
ミーメ:アンドレアス・コンラッド Mime : Andreas Conrad
フリッカ:シモーネ・シュレーダー Fricka : Simone Schröder
フライア:安藤赴美子 Freia : Ando Fumiko
エルダ:クリスタ・マイヤー Erda : Christa Mayer
ヴォークリンデ: 増田のり子 Woglinde : Masuda Noriko
ヴェルグンデ:池田香織 Wellgunde : Ikeda Kaori
フロスヒルデ:清水華澄Flosshilde : Shimizu Kasumi
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団 Orchestra : Tokyo Philharmonic Orchestra
協力:日本ワーグナー協会 Cooperation : Richard-Wagner-Gesellschaft Japan
芸術監督:飯守泰次郎 Artistic Director : Iimori Taijiro
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