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東京文化会館 オペラ「眠れる美女」 [オペラぁ!]

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オペラ「眠れる美女」は、
川端康成の小説のオペラ化。
ベルギーのクリス・デフォートの作曲で、
2009年にベルギー王立モネ劇場で初演されています。

川端康成といえば日本で2人しかいないノーベル賞作家、
有名な作品といえは「雪国」と「伊豆の踊子」ぐらいですが、
「眠れる美女」は後期の代表作、退廃的中編小説で、
内容は、
年老いた男性が、
薬で眠らされた若い女性の暖かい体に寄り添い一夜を過ごす事が出来る、
奇妙ではかない逸楽の館で起こる江口老人の物語。
別れ、老い、そして死を描いた作品。

オペラの構成は、
独唱2人、コーラス4人、ダンサー1人、俳優2人の絡み合いと、
20人余りの金管に偏重した小ぶりなオーケストラ。

ギー・カシアス演出の舞台は、
海沿いの館を5m角程度の畳敷で表現、
背面は障子をイメージした格子で、
そこに雨模様や雪景色などの映像を映し出し、
障子が開くと奥舞台でダンサーが眠れる美女を抽象的に表現します。

オペラは基本英語で歌われますが、
俳優が演じる部分は日本語で会話が進みます。

江口老人役は長塚京三。
たっぷり間を取った朴訥としたしゃべり方は、
人生の記憶と生へのこだわりとあきらめが交錯した思いを感じさせます。
女主人役は原田美枝子。
怪しげな宿の女主人にしてはおおらかな感じで、
陰湿になりがちなテーマをカラリを演じていました。

眠れる美女役は海外で活躍するコンテンポラリーダンサーの伊藤郁女。
肢体を自由に操り、重力を感じさせない舞踏を披露、
布をまとったり、照明による影だけの表現だったり、
その演出と合わせた前衛的魅力に引き込まれます。

演奏は金管を中心とした現代音楽で難解ですが、
演劇、ダンスとのコラボレーションによって、
新しい舞台表現の場に立ち会っている感じでした。


2016年12月10日 東京文化会館 オペラ「眠れる美女」
~House of the Sleeping Beauties~

原作  :  川端康成(『眠れる美女』1961年、新潮社刊) 
台本  :  ギー・カシアス、クリス・デフォート、マリアンヌ・フォン・ケルホーフェン 
ドラマトゥルク  :  マリアンヌ・フォン・ケルホーフェン ( Marianne Van Kerkhoven)
作曲:クリス・デフォート(Kris Defoort)
指揮:パトリック・ダヴァン(Patrick Davin)
演出:ギー・カシアス(Guy Cassiers)
振付:シディ・ラルビ・シェルカウイ(Sibi Larbi Cherkaoui)

キャスト
老人(バリトン):オマール・エイブライム(Omar Ebrahim)
女(ソプラノ):カトリン・バルツ(Katrien Baerts)
老人(俳優):長塚京三
館の女主人(俳優):原田美枝子
眠れる美女(ダンサー):伊藤郁女
眠れる美女たち(コーラス)原千裕 林よう子 吉村恵 塩崎めぐみ

管弦楽  :  東京藝大シンフォニエッタ 
美術  :  エンリコ・バニョーリ/アリエン・クレルコ(Enrico Bagnoli/Arjen Klerkx)
照明  :  エンリコ・バニョーリ(Enrico Bagnoli)
映像  :  アリエン・クレルコ  (Arjen Klerkx)
衣裳  :  ティム・ファン・シュテーンベルゲン(Tim Van Steenbergen)
舞台監督  :  菅原多敢弘 
共同制作  :  LOD(ベルギー) 

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