SSブログ

新国立劇場 オペラ「ルチア」 [オペラぁ!]

無題.jpg
「ルチア」は兄に政治的理由で恋人との仲を引き裂かれたルチアの悲劇を描いたオペラで作曲はカエターノ・ドニゼッティ。1835年の作品で、今回は2017年のプロダクションの再演。

舞台は17世紀のスコットランド、断崖絶壁の足元には打ち寄せる荒波、絶壁の上は平らな緑で、いかにも自然が厳しく美しい風景がスコットランドらしい演出で、波は映像、崖は回転舞台になっていて物語の展開に合わせて回転すると池がある岩場だったり、傾斜のついた高原だったりして工夫があります。

途中居城内のシーンだけ別セットになりますが、舞台の世界観が途切れるのでせっかくだから全編通して同じ装置で演出した方が説得力があったように感じました。

終幕では最初の断崖を180度回転させ、高原墓地の先が絶壁という設定ですが、ルチアの埋葬シーンでは四角く掘られた墓穴と黒衣の参列者を夕日が幻想的に照らし神聖な静寂の中、嘆く恋人が断崖から身を投げる幕切れは鳥肌モノの演出でした。

ルチアを歌ったのはロシア出身のイリーナ・ルング、美しい歌唱が求められるベルカントオペラですが、高音から低音まで浮遊するような自然で自由な歌声で容姿も美しく知的オーラを感じます。

恋人のエドガルド役はアメリカの黒人テノールでローレンス・ブラウンリー、海辺で歌っているとオテロのようにも見えますが、ちょっとざらついた高音が力強く存在感もあります。

この二人と指揮者はコロナウィルス感染予防のため来日後2週間隔離されていたとの事で満を持しての上演だったことでしょう。舞台の熱が客席に伝わってくるようでした。



2021年4月23日 新国立劇場 オペラ「ルチア」
Lucia di Lammermoor
Music by Gaetano DONIZETTI
指 揮 : スペランツァ・スカップッチ(Speranza SCAPPUCCI)
演 出 : ジャン=ルイ・グリンダ(Jean-Louis GRINDA)
美 術 : リュディ・サブーンギ(Rudy SABOUNGHI)
衣 裳 : ヨルゲ・ヤーラ(Jorge JARA)
照 明 : ローラン・カスタン(Laurent CASTAINGT)
再演演出: 澤田康子
舞台監督: 村田健輔 
ルチア : イリーナ・ルング(Irina LUNGU)
エドガルド : ローレンス・ブラウンリー(Lawrence BROWNLEE)
エンリーコ : 須藤慎吾
ライモンド : 伊藤貴之
アルトゥーロ : 又吉秀樹
アリーサ : 小林由佳
ノルマンノ : 菅野 敦
合唱指揮: 三澤洋史
合唱 : 新国立劇場合唱団
管弦楽 : 東京フィルハーモニー交響楽団
芸術監督:大野和士


nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。