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日生劇場 オペラ 「魔笛」 [オペラぁ!]


魔笛.gif日比谷にある日生劇場は、
村野藤吾の設計で1963年竣工、
劇場建築の傑作です。
特徴のない四角い建物ながら、
外観は荒い仕上げの御影石、
規則的に掘り込まれたバルコニーは、
日没と共にライトアップされ、
道行く人に華やかな劇場内をイメージさせます。

しかし内部ホワイエは外観からは全く想像の付かない曲線を多用した有機的空間、
狭いながらも上下が見通しよくいくつもの螺旋階段等でつながっており、
観客が主役となる第二の劇場となるように演出されています。

そしてその劇場内、
曲面の天井にはあこや貝が張り詰められ、
ガラス質のモザイクタイルが貼られたうねった壁は鈍く光を反射し、
深海にいるような幻想的空間、
壁に付いた空調の吹き出し口がイソギンチャクのように見えます。
しかもそれが、
単なるデザインに留まる事なく、
音響も優れている上、舞台と客席の一体感もあり、
胎内にいるような心地よさを与えてくれます。
そんな劇場空間でのオペラ「魔笛」でした。

グラフィックにデザイン処理された舞台装置は、
ピットに張り出した四角いステージが手前に傾斜していて、
背景と一体になった時には、
長い1本の道に見えるようになっています、
演目のテーマでもある、
愛と友情を試す「試練の道」を表現しているのでしょうか?
客席天井にミラーボールを吊るして反射光を壁に当てるなど、
客席との一体感を持たせるための演出か、
70年代風衣装も、懐かしいような、見飽きたような、
セリフは日本語で、時事ネタのギャグを交え笑いを誘う趣向もありましたが、
全体的にはっきりした主張のない中途半端な演出のように感じました。

歌手ではパミーナを歌った星川美保子さんの、
艶があって伸びる声と、
大迫力の3人の侍女は聴き応えがありました。

そして、今公演で一番光っていたのはやはり指揮の上岡敏之氏でしょう。
ドイツ帰りで春には新国立劇場で「椿姫」を指揮しましたが、
http://turlinco.blog.so-net.ne.jp/2008-06-06
奥行きのない横に広がった日生劇場のオーケストラピットで、
緩急の効いた指揮で舞台を引き締めていました。
右へ左へと大きく体を動かし、
指揮棒でオーケストラを突き刺しそうな勢いでしたが、
コンサートマスターが怪我をしなかったのが幸いです。



2008年11月9日 日生劇場 オペラ「魔笛」
作 曲:W・A・モーツァルト
台 本:J・E・シカネーダー 
 
スタッフ
指 揮 :上岡 敏之   
演 出 :高島 勳
ドラマトゥルグ : 山崎 太郎
合唱指導 :  田中 信昭
美術 :  乘峯 雅寛
児童合唱指導 : 籾山 真紀子
照明 : 勝柴 次朗
振付ステージング : 伊藤 多恵
演出補 : 三浦 安浩 
衣装制作 : ミイン(田中 晶子)  
舞台監督 : 幸泉 浩司
協力 : センターヴィレッジ

キャスト       
ザラストロ : 小野 和彦
タミーノ   : 鈴木  准
弁者 : 小田川 哲也
夜の女王 : 鈴木 麻里子
パミーナ : 星川 美保子
パパゲーノ : 折河 宏治
パパゲーナ : 直野 容子
モノスタートス : 青柳 素晴
侍女1 : 和泉 純子
侍女2 : 南 智子 
侍女3 : 与田 朝子             
僧侶1 : 鶴川 勝也
僧侶2 : 高田 正人
武士1 : 川久保 博史
武士2 : 金子 宏
 
童子 : パピー コーラスクラブ
合唱 : C.ヴィレッジシンガーズ  
管弦楽 : 読売日本交響楽団
 


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コメント 2

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つるりんこ さん、こんばんは、=(^。^)=
”魔笛”の素適なタイトルロゴ、かわいいなぁ~*、 (*^.^*)
いっぺんに、好きになりました!、
魔笛は、一番好きなオペラです!、
混沌とした、ストーリーも魅惑に満ちてると想います!、
♪└|・.・|┐♪└|・.・|┘♪┌|・.・|┘♪
by xml_xsl (2008-11-10 23:15) 

room7

学生の時、ワクワクしながら日生劇場を見学しました。演劇される”場”も重要ですよね。魔笛好きです。
by room7 (2008-11-11 07:18) 

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