二期会 オペラ 「マクロプロス家の事」 [オペラぁ!]
カレル・チャペックの戯曲をもとにした脚本、
チェコの作曲家である、
レオシュ・ヤナーチェク作の前衛オペラで、
1926年に初演。
知人に話したところ、
「エッ!まっくろくろすけの事?」と大うけ。
「マクロプロス家の秘事」と訳す事もあるようで、
それなら、
「まっくろくろすけの秘事」と、
ますます興味津々のタイトルです。
1920年代の作品とあって、
第一次世界大戦の復興から、
1929年の世界恐慌に陥るまでの、
開放感と景気の上昇に盛り上げられた、
快楽と好奇心に満ちた時代を写す鏡のような作品です。
主人公は337歳で魅力溢れるオペラ歌手、
100年に及ぶ遺産相続に係わる係争を糸口に、
その麗人の魅力と謎に翻弄されるまわりの人々、
そして最後にその謎が明かされます。
337年の人生で、
まわりが皆親戚のような近親相姦的内容ですが、
そんなのお構いなしの空想世界に遊ぶようなストーリーです。
女性の自立と社会への進出が叫ばれた時代、
主人公のエミリア・マルティを演じた小山由美さんは、
当時のモダンガールのファッションに身を包み、
妖艶な魅力で男達をもてあそび、
日生劇場のうねった硬い壁を打ち崩す程の声量で、
圧倒的存在感を示していましたが、
プロンプターの声が大きく聞こえて来たのはちょっと残念。
そして精彩に富んだクリスティアン・アルミンク氏の指揮による演奏。
流麗な弦楽に金管が印象的に使われた、
いかにも20年代らしい前衛的ながら耳障りの良い音楽ですが、
切れのある演奏をするのはなかなか難しいようでした。
2008年11月 20日 オペラ 「マクロプロス家の事」VĔC MAKROPULOS
作曲と台本:レオシュ・ヤナーチェク(LEOŠ JANÁČEK)
会場: 日生劇場
スタッフ
指揮: クリスティアン・アルミンク (Christian ARMING)
演出: 鈴木敬介
装置: パンテリス・デシラス (Pantelis DESSYLLAS)
照明: 沢田祐二
衣裳: 小栗菜代子
演出補: 飯塚励生
舞台監督: 小栗哲家
キャスト
エミリア・マルティ 小山 由美
アルベルト・グレゴル ロベルト・キュンツリー (Robert KUNZLI)
ヴィーテク 井ノ上 了吏
クリスタ 林 美智子
プルス男爵 大島 幾雄
ヤネク 高野 二郎
コレナティ博士 加賀 清孝
道具方 志村 文彦
掃除婦 三橋 千鶴
ハウク・シュレンドルフ 近藤 政伸
小間使い 橘 今日子
管弦楽: 新日本フィルハーモニー交響楽団
合唱: 二期会合唱団
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