新国立劇場 オペラ「チェネレントラ」 [オペラぁ!]
ロッシーニ作曲のオペラ「チェネレントラ」は、
「セビリヤの理髪師」発表翌年の1817年に、
ローマのヴァッレ劇場で初演されています。
チェネレントラとは、
イタリア語でシンデレラという意味。
シャルル・ペローの童話が原作ですが、
魔法やカボチャの馬車などは登場せず、
登場人物はそれぞれがリアルな感情をぶつけ合い、
チェネレントラも、
自ら王子に「宮殿へ連れてって!」と嘆願するなど、
いかにもイタリアらしい、
ドタバタ喜劇に仕立てられています。
コロコロと転がるようなロッシーニの楽しい音楽に、
結構笑えて面白いオペラながら、
上演機会が少ないのは、
高い歌唱技術が必要とされるからのようです。
そんな主題役を歌ったメゾ・ソプラノのヴェッセリーナ・カサロヴァは、
音域の広い難易度の高い曲を美しい音色で響かせました。
義姉から下女のようにこき使われているけなげな少女とは思えない存在感に、
多少の違和感はあったものの、
全編20人以上の男性陣のなかを、
他の2人も含め女性3人だけでコーラスに埋もれる事もなく、
華やかな舞台を作っていました。
ただ、
クロリンダ役の幸田浩子は出ずっぱりのわりに歌が少なくてちょっと残念、
歌はそこそこ評価されたから今度は演技で勝負?
王子役のアントニーノ・シラグーサは、
去年の藤原歌劇団「どろぼうかささぎ」以来でしたが、
ハイC連発の「お調子者のロッシーニ歌い」は健在で、
第2幕のアリア「誓って彼女を見つけ出す」では、
喝采を浴び、アンコールを歌うというサービスまでありました。
演出・美術・衣装は1988年に亡くなったフランスの演出家ジャン=ピエール・ポネル。
銅版画のような細かい線で描かれた書割や幕が特に美しく、
イタリアのアーティスト、フォルナセッティが描く絵のように知的センスに溢れている。
バイエルン州立歌劇場のプロダクションとの事で、
再演の演出はグリシャ・アサガロフ。
どこまでがポネルでどこまでがアサガロフなのかは不明ですが、
「スタイリッシュな舞台なのに動きがヤボ」と思うところがしばしば。
「饗宴のテーブルに椅子を乗せて人を座らせる」など、
ポネルが考えるとは思えないのですが。
東京フィルハーモニー交響楽団を指揮したのは、
英国ロイヤルオペラ音楽部長のベテラン、ロバート・サイラス。
歌手には自由に歌わせつつ、流石にまとめていたように感じました。
2009年6月10日 新国立劇場 オペラ「チェネレントラ」
Giachino Rossini : La Cenerentola
【作 曲】ジョアキーノ・ロッシーニ
【台 本】ジャコモ・フェレッティ
スタッフ
【指 揮】デイヴィッド・サイラス(David Syrus)
【演出・美術・衣裳】ジャン=ピエール・ポネル(Jean-Pierre Ponnelle)
【再演演出】グリシャ・アサガロフ(Grischa Asagaroff)
【演技指導】グリシャ・アサガロフ/グレゴリー・A.フォートナー(Grischa Asagaroff / Gregory A.Fortner)
【芸術監督】若杉 弘
キャスト
【ドン・ラミーロ】アントニーノ・シラグーザ(Antonino Siragusa)
【ダンディーニ】ロベルト・デ・カンディア(Roberto de Candia)
【ドン・マニフィコ】ブルーノ・デ・シモーネ(Bruno de Simone)
【アンジェリーナ】ヴェッセリーナ・カサロヴァ(Vesselina Kasarova)
【アリドーロ】ギュンター・グロイスベック(Günther Groissböck)
【クロリンダ】幸田 浩子(Koda Hiroko)
【ティーズベ】清水 華澄(Shimizu Kasumi)
【合 唱】新国立劇場合唱団(New National Theatre Chorus)
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団(Tokyo Philharmonic Orchestra)
羨ましいなぁ。これってレコ芸で評が載ってたやつですよね。
見たことないのに何故か懐かしい・・・
アッバード、シュターデ、アライサのビデオと同じ演出って書いてあって、
とても羨ましく思っていました。
カサロヴァはこの3月関西に来たみたいだけど聞きに行けず、
これもまた羨ましい限りです。
しかしさすがに東京、カサロヴァにシラグーザですか...。
本当にいいなぁ~。
by Paco (2009-07-21 16:41)