SSブログ

日生劇場 オペラ「フィデリオ」 [オペラぁ!]

fiderio.jpgフィデリオはベートーベン唯一のオペラで、
50年前の日生劇場の開場記念にもなった演目です。
当時はベルリン・ドイツオペラの公演でカール・ベーム指揮、
劇場前にチケットを求める人たちの、
大行列が出来た様子を伝える新聞記事が、
エントランスロビーに展示されていました。

2005年には新国立劇場でも上演がありましたが、
とくかく「暗い!」という印象でした。↓
http://turlinco.blog.so-net.ne.jp/2005-05-31
そして新たに聴いてみて、
刑務所が舞台の暗い内容ですが、
喜劇的要素も盛り込まれ、
その音楽や救出劇の内容など14年前に発表された、
モーツァルトの魔笛に似てる感じがしました。

今回三浦安浩の演出は寸劇タイプ。
序曲では、
赤いドレス姿の主人公レオノーレが自分の長い髪にハサミを入れ、
男フィデリオになる決意表明をして、
政治的陰謀で投獄されている夫のフロレスタンを救出に向かいます。

煉瓦造りの刑務所建物の中庭の両側に地下牢への入り口が2つ、
真ん中には円模様の地下への明かり取り、
これが第2幕の地下の場面では床に落ちる地上の明かりの模様となる趣向です。
全編暗いステージで役者にスポットライトを当てていきます。

特筆するところもないと感じた演出ですが、
ちらしにもあった「雨」のコンセプトもよく分かりません。
序曲では雨の中を奥舞台へ去る2人、
終幕では晴れて「めでたしめでたし!」の後で雨。
恵みの雨とか、生命の源のようなものを表現したかったのでしょうか???

キャストには演劇的要素が多く求められる演目なので、
歌手には難しかったかも知れません、
どうしてもわざとらしい演技になってしまいます。
その点、歌も演技も良かったのは看守長ロッコ役の山下浩司。
コーラスもなかなか厚みがありました。

金管の出だしが度々ふらついたオーケストラも、
弦楽はつややかでした。

安定感のある指揮をした飯守泰次郎は、
次期新国立劇場の芸術監督が決まったそうです。
「おめでとうございます。」ですが、
指揮の機会は減ってしまうのでしょうか。 

2013年11月23日 日生劇場 オペラ「フィデリオ」
原作:ジャン=ニコラ・ブイイの戯曲『レオノール、あるいは夫婦愛』
台本:ヨーゼフ・フォン・ゾンライトナー、シュテファン・フォン・ブロイニング、ゲオルク・フリードリヒ・トライチュケ
作曲:ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
指 揮 飯守泰次郎
演 出 三浦安浩
【キャスト】
ドン・フェルナンド :  木村俊光
ドン・ピツァロ : ジョン ハオ 
フロレスタン  : 成田勝美
レオノーレ : 小川里美
ロッコ : 山下浩司
マルツェリーネ : 安井陽子
ヤキーノ : 小貫岩夫
囚人1 : 伊藤潤
囚人2 : 狩野賢一
合 唱 : C.ヴェレッジシンガーズ 
管弦楽 :新日本フィルハーモニー交響楽団 
【スタッフ】
美術/鈴木俊朗
照明/稲葉直人
衣裳/坂井田操
ドラマトゥルク/小宮正安
演出助手/大森孝子
舞台監督/近藤元
合唱指揮/田中信昭
副指揮/四野見和敏 鈴木彰久 粂原裕介 鈴木恵里奈
コレペティトゥア/小林万里子 三浦万里

nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(2) 

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 2