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東京二期会 オペラ「外套・修道女アンジェリカ・ジャンニスキッキ」 [オペラぁ!]

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東京二期会のプッチーニ三部作「外套・修道女アンジェリカ・ジャンニスキッキ」。
毎回気鋭の演出家を起用する東京二期会ですが、
今回の演出はイタリアの若手ダミアーノ・ミキエレット。
新国立劇場ではモーツァルトの「コシ・ファン・トゥッテ」を演出しましたが、
奇想天外な舞台設定と緻密な演出・構成で毎回目が離せません。

今回も三部作1幕目の「外套」では、
運河の輸送貨物船上が舞台のはずですが、
舞台にはコンテナが3つ4つ並んでいるだけ。
これを見ただけで三部作を関連づけた展開がありそうで何だかワクワクします。
貨物船の舞台はスモークで何だか怪しい雰囲気を作り、
中間色の照明効果で船上での男と女の修羅場に緊張感を与えます。

第2幕の「修道女アンジェリカ」は幕間なしで第1幕から連続し、
コンテナの壁と屋根が持ち上がって修道院の室内が現れます。
物語も「外套」の主人公が愛人を殺され絶望の嘆きで終わった後、
髪を切られて修道女となり次の「修道女アンジェリカ」でも主役を歌います。
何とも機転の効いたつなげ方です。

幕間の休憩を挟んで第3幕のジャンニ・スキッキは、
一転してヴィクトリア調の壁紙をあしらった瀟洒な室内。
上の写真がそうですが、
主人公のジャンニ・スキッキが富豪の親戚のベッドに潜り込んで、
勝手な遺産相続の遺言を公証人に伝えているシーンです。

価値のある財産は全てジャンニ・スキッキに譲ると言うので、
親族たちが大騒ぎをして大団円で幕となりますが、
幕切れでは、この様式的インテリアの壁や天井が折りたたまれて、
第1幕と同じ殺伐としたコンテナの状態に戻ります。
第3幕は関連がなさそうだったので、もうビックリです。
さすが、ダミアーノ・ミキエレット、期待を裏切りません。

歌は外套のジョルジェッタと修道女アンジェリカの2役を演じた、
ソプラノの北原留美が良かった。
ジョルジェッタはちょっと日本人離れした堂々とした身のこなしで、
観客を作品世界へ引き込みます。
また、アンジェリカは短髪で髪の色も替え、全く違った印象を与えていました。


2018年9月6日 東京二期会 オペラ「外套・修道女アンジェリカ・ジャンニスキッキ」
会場:新国立劇場
 
スタッフ
指揮:ベルトラン・ド・ビリー (Bertrand de BILLY )
演出:ダミアーノ・ミキエレット (Damiano MICHIELETTO)
演出補:エレオノーラ・グラヴァニョーラ (Eleonora GRAVAGNOLA )
装置:パオロ・ファンティン (Paolo FANTIN )
衣裳:カルラ・テーティ (Carla TETI)
照明:アレッサンドロ・カルレッティ (Alessandro CARLETTI )
 
合唱指揮:冨平恭平
演出助手:菊池裕美子
舞台監督:村田健輔
公演監督:牧川修一
公演監督補:大野徹也
 
キャスト
『外套』
ミケーレ: 上江隼人
ジョルジェッタ : 北原瑠美
ルイージ : 樋口達哉
フルーゴラ : 塩崎めぐみ
タルパ : 清水那由太
ティンカ : 児玉和弘
恋人たち : 新垣有希子 ・ 新海康仁
流しの唄うたい : 高田正人
 
『修道女アンジェリカ』
アンジェリカ : 北原瑠美
公爵夫人 : 中島郁子
修道院長 : 塩崎めぐみ
修道女長 : 西館 望
修練女長 : 谷口睦美
ジェノヴィエッファ : 新垣有希子
看護係修道女 : 池端歩
修練女 オスミーナ : 全 詠玉
労働修道女I ドルチーナ : 栄 千賀
托鉢係修道女I : 小松崎 綾
托鉢係修道女II : 梶田真未
労働修道女II : 成田伊美
 
『ジャンニ・スキッキ』
ジャンニ・スキッキ : 上江隼人
ラウレッタ : 新垣有希子
ツィータ : 中島郁子
リヌッチョ : 新海康仁
ゲラルド : 児玉和弘
ネッラ : 小松崎 綾
ベット : 大川博
シモーネ : 清水那由太
マルコ : 小林大祐
チェスカ : 塩崎めぐみ
スピネロッチョ : 倉本晋児
公証人アマンティオ : 香月健
ピネッリーノ : 湯澤直幹
グッチョ : 寺西一真
 
合唱: 二期会合唱団、新国立劇場合唱団、藤原歌劇団合唱部
管弦楽: 東京フィルハーモニー交響楽団

タグ:プッチーニ
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