新国立劇場 オペラ「魔笛」 [オペラぁ!]
今シーズンから新国立劇場の芸術監督が大野和士に代わり、
最初の演目は新制作の「魔笛」でした。
新制作といっても2005年のベルギー・モネ劇場のプロダクションですが、
ミラノ・スカラ座でも上演されており、
今回もスカラ座と同じローラント・ベーアが指揮しました。
演出は1955年生まれの南アフリカの美術家ウィリアム・ケントリッジ。
木炭絵を用いたアニメーションで天文学的な映像や比喩的情景描写を、
舞台上の6面くらいあるレイヤーに投影していきます。
素朴とも前衛的とも言えそうな不思議な世界です。
奥行のある映像表現は大掛かりなインスタレーションを見ているようで、
登場人物も左右にスライドする床の上で歩いたり止まったりと、
オブジェ的だったり、不思議な動きに見えたりします。
装置と映像はかなり芸術性の高いものですが、
オペラの音楽と合わせるとちょっとうるさくも感じられ、
テンコ盛りで消化不良気味でした。
歌手は男声3人が海外からの招聘。
ザラストロ役のサヴァ・ヴェミッチのバスは良く響き存在感抜群、
パパゲーノ役のアンドレ・シュエンもなかなかのイケメンで、
魔笛ファンタジーの道化役で舞台を盛り上げました。
2018年10月3日 新国立劇場 オペラ「魔笛」
Libretto by Emanuel SCHIKANEDER
Music by Wolfgang Amadeus MOZART
スタッフ
指揮:ローラント・ベーア(Roland BÖER)
演出:ウィリアム・ケントリッジ(William KENTRIDGE)
演出補:リュック・ド・ヴィット(Luc DE WIT)
美術:ウィリアム・ケントリッジ(William KENTRIDGE)ザビーネ・トイニッセン( Sabine THEUNISSEN)
衣 裳:グレタ・ゴアリス(Greta GOIRIS)
照 明:ジェニファー・ティプトン(Jennifer TIPTON)
プロジェクション:キャサリン・メイバーグ(Catherine MEYBURGH)
映像オペレーター:キム・ガニング(Kim GUNNING)
照明監修:スコット・ボルマン(Scott BOLMAN)
舞台監督:髙橋尚史
キャスト
ザラストロ:サヴァ・ヴェミッチ(Sava VEMIC)
タミーノ:スティーヴ・ダヴィスリム(Steve DAVISLIM)
夜の女王:安井陽子
パミーナ:林 正子
パパゲーノ:アンドレ・シュエン
パパゲーナ:九嶋香奈枝
モノスタトス:升島唯博
弁者・僧侶I・武士II:成田 眞
僧侶II・武士I:秋谷直之
侍女I:増田のり子
侍女II:小泉詠子
侍女III:山下牧子
童子I:前川依子
童子II:野田 千恵子
童子III:花房英里子
合唱指揮:三澤洋史
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
芸術監督:大野和士
タグ:モーツァルト
こんにちは。
私もオペラ『魔笛』の舞台を鑑賞してきましたので、大変興味を持ってブログを読ませていただきました。今回のケンブリッジの演出は「たくさんの美術的創作作品を舞台に出現させることでオペラの舞台創作を進めたようで、例えば、白い大きなこの紙の上に木炭でたくさんの点を打ちそれを反転させると、「夜の女王」とその背景にある星空が輝く広大な宇宙を連想させる演出は見事でした。しかし、オペラの音楽と合わせると情報過多で、うるさくも感じられ消化不良気味というご感想は、私も同感です。こんなに疲れる舞台が、本当にモーツアルトかと疑問に思うほどでした。
私も、オペラ『魔笛』のこの新演出の意図と、この舞台を見て感じた『魔笛』に秘められたモーツアルトの知られざる秘密について、考察し、分かりやすく整理してみました。ぜひ読んで見てください。 ご感想・ご意見などありましたら、ブログにコメント頂けると感謝いたします。
by dezire (2018-10-20 14:58)