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新国立劇場 オペラ研修所公演「ドン・ジョヴァンニ」 [オペラぁ!]

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新国立劇場オペラ研修所のドン・ジョヴァンニ公演。
女性偏愛主義者の放蕩と没落を描いたモーツァルトの傑作ですが、
7人の登場人物のそれぞれに見せ場がある内容で、
研修所の終了公演にはぴったりの演目です。

主役のドン・ジョヴァンニを歌ったのは高橋正尚。
昨年の研修所公演でも好演でしたが、
まろやかで包み込むようなバリトンで表情も豊か、
声を掛けるだけで女がなびいてしまうというあり得ない話が、
何だかありえなくなくもない感じに思えてきます。

ドン・ジョヴァンニの従者レポレッロ役は伊良波良真。
名前からしても沖縄の人のようですが、
南国系の濃い顔立ちで、
おちゃらけていて小心な役柄が動きや仕草によく出ていて、
中低音も良く響きます。
女性に「ドン・ジョヴァンがだめならレポレッロでもいいや」と思わせそうです。

父をドン・ジョヴァンニに殺されたドンナ・アンナを歌ったソプラノの平野柚香。
許嫁がいるにも係わらずドン・ジョヴァンニを自室に招く怪しい存在ですが、
終始未亡人のようにクールな立ち振る舞いで、
繊細な歌声もあり、グッと見入ってしまいました。

演出は去年と同じ粟国淳、
本当にこの人は小さい舞台の演出が上手。
舞台には階段と門型が絡まった造作だけで、
物語の進行に合わせて回転します、
動き始めて360度の回転舞台だと分かるのですが、
角度を変えて表裏を使い分け、
大掛かりな舞台転回をする事なく舞台に変化を与えます。
また照明の効果も巧みで、
はっきりした陰影と背面への映写効果でメリハリをつけます。
最後の地獄落ちでは門型階段装置がそのまま奥舞台へスライドして、
新たな床が奈落から上がってきます。
費用を掛けずに中劇場の舞台機構を十分に活かした演出に感心しました。


2018年の研修所公演「イル・カンピエッロ」のレビューはこちら↓
https://turlinco.blog.so-net.ne.jp/2018-03-09

新国立劇場 オペラ研修所公演「ドン・ジョヴァンニ」
【作 曲】W.A.モーツァルト
【台 本】ロレンツォ・ダ・ポンテ
 
スタッフ
【指 揮】河原忠之(オペラ研修所音楽主任講師)
【演出・演技指導】 粟國淳(オペラ研修所演出主任講師)
【装 置】横田あつみ
【照 明】稲葉直人(ASG)
【衣裳コーディネーター】加藤寿子
【舞台監督】須藤清香
 
【オペラ研修所長】永井和子
【主催】文化庁、新国立劇場
【会場】新国立劇場 中劇場
 
キャスト
【ドン・ジョヴァンニ】 高橋正尚(19期生)
【ドンナ・アンナ】 平野柚香(20期生)
【ドン・オッターヴィオ】 荏原孝弥(19期生)
【ドンナ・エルヴィーラ】 十合翔子(19期生)
【レポレッロ】 伊良波良真(19期生)
【マゼット】 井上大聞(21期生)
【ツェルリーナ】 斉藤真歩(20期生)
【騎士長】 松中哲平(16期生)
 
【管弦楽】新国立アカデミーアンサンブル

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