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「桂離宮」 [2019年京都]

桂離宮は後陽成天皇の弟・八条の宮の別荘として1615年に創建、
二代目智忠親王によって完成されました。

広大な敷地に桂川から水を引いて池をつくり、
入江や築山などに園路を巡らし茶室や東屋を点在させて回遊式庭園としています。
華美な装飾は避け簡素な造りに遊び心を忍ばせて、
庭園と建物を調和させた美の傑作です。

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【御幸門】
桂離宮の北側にあり正門に当たります。
茅葺切妻屋根の簡素な門ですが、
柱はアベマキという厚いコルク質の粗い樹皮に覆われた木で、
意外な使い方に遊び心が表れています。

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【中門】
御幸門をくぐり、右へ御幸道を進むと、
路は書院方面と庭園方面へと別れます。
書院方面へ進むと書院の入り口に当たる中門に出ます。
門の奥に古書院の玄関が見えます。
手前、大小の自然石を矩形に並べた敷石が凝っていますが、
奥の切り石が人を書院へ誘うように変化を付けて並べられています。

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【御腰寄】
古書院の玄関。
前庭は杉苔で覆われていますが、幾何学模様の敷石が前衛的です。
石段を上がったところにある一枚石は、
6人分の沓を並べられる事から「六つの沓脱」と言われています。

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【古書院】
書院は桂離宮の母屋に当たる建物で古書院は一番初期のもの、
以降、中書院そして新御殿が南西に雁行するように増築されていきます。
張り出したテラスは月見台で、床は竹が敷き詰められています。
星空を眺め、池に映った月を愛で・・・、「よろしゅうございますなぁ。」

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【新御殿】
書院の中では一番新しい新御殿。
古書院、中書院を経て、美の極みに達した感があります。
簡素なデザインで絶妙なプロポーション、余計なものは一切ありません。
蹴鞠や弓を楽しんだという広場もフラットで禁欲的な修景要素です。
内部は見られませんでしたが、
雨戸は開け放たれ、障子の白い矩形が鮮やかです。

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【外腰掛】
御幸門から庭園方面へいくとあるのがこの外腰掛で、
お茶会など庭園へのお客さんの待合スペースのようなところ。
向かいにはソテツの築山があって、あえて眺望を遮るようにしてあるそうです。
曲がった自然木の柱と自然石と切り石を組み合わせた敷石が遊び心。


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【松琴亭】
自然な造形に見える庭園は、園路を進むにつれ景色が変化していきます。
奥に見える茅葺入母屋の建物は茶室の松琴亭、
手前の石橋の辺りは「天の橋立」に見立てられています。
その手前にはあえて小石を敷き詰めた水辺の「州浜」、
先端の灯籠は岬の灯台をイメージ、

池は桂川につながっていて舟遊びも出来たそうです。

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【松琴亭内部】
端正で質素な造りで枯れた感じが味わい深く、
青と白の市松の経師は今見ても斬新です。

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【賞花亭】
池の中島の小高い丘に建つ茅葺切妻屋根の茶屋風東屋で、
眺めのいい消夏のための小亭。

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【笑意軒】
敷地の最南部に建つ田舎家風の茶室。
内部は襖で仕切られていますが、天井はひとつながりになっていて、
開放的な空間になっています。

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【月破楼】
古書院に近い池辺の高みに建つ茶亭で、
竹の垂木を用いた勾配天井が特徴的です。

一組25人ぐらいのグループで宮内省の職員が案内をし、
たっぷり1時間掛かりますが、
もっとゆっくり見ていたいところでした。
ちょうどツツジが満開でしたが、
紅葉もとても綺麗だろうと思います。
庭園は手入れが行き届いているのですが、
自然な刈込みで本当の里山のようにも見えます。

1976年以降、昭和の大修理を行い、ほぼ当時の姿が再現されていますが、
400年前の粋人の「雅の世界」を垣間見たひと時でした。


2019年5月2日 桂離宮
予約制 参観料 1,000円
http://sankan.kunaicho.go.jp/guide/katsura.html

タグ:建築
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