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新国立劇場 オペラ「エウゲニ・オネーギン」 [オペラぁ!]

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新国立劇場の「エウゲニ・オネーギン」公演、
原作はプーシキンの韻文小説で作曲はチャイコフスキー、
美しい音楽が散りばめられた珠玉のオペラです。

演出はモスクワのヘリコン・オペラ創設者のドミトリー・ベルトマン。
ロシアではオペラの演出が始まったのが1922年だそうで、
当時のコンスタンチン・スタニスラフスキーの演出を、
今日的にアレンジした、との事です。

郊外の邸宅内外の風景を、
柱列とオーナメントの大装置と窓の付いた壁面、
樹々の書割と建物に絡まる蔦で表現、
シーンによって装置を動かしていく事で、
舞台に変化を付けつつ、全体的に統一された牧歌的世界観を演出しています。

プーシキンの世界に踏み込んだ演出家の哲学的意図は何となく感じるのですが、
表面的にはちょっと物足りない感じが否めません。

そして歌の方ですが、こちらはかなり聴き応えがありました。
チャイコフスキーの音楽の素晴らしさによるところも多いのでしょうが、
オネーギンに恋する少女タチヤーナ役のエフゲニア・ムラーヴェア。
透明感のある繊細な歌声ですが声に広がりがあって染み渡る感じです、
清楚ではかなげな立ち振る舞いも抑制が効いていて、
後半の場面では貴婦人となってオネーギンをあしらう毅然とした態度、
その落差も見ものでした。

オネーギン役はワシリー・ラデューク
ベテランの貫録はありましたが、
流れ者のヤクザっぽさを出して欲しかった所です。

オネーギンに殺されてしまう友人レンスキー役はパーヴェル・コルガーティン、
よく通るテノールで髪を振り乱しながら苦悩を表現するなど、
歌も演義も抜群です。

グレーミン公爵役のアレクセイ・ティホミーロフも、
渋い低音をぐっと聴かせてくれました。


この公演では秋篠宮ご夫妻の列席がありました。


2019年10月1日 新国立劇場 オペラ「エウゲニ・オネーギン」

スタッフ
指揮:アンドリー・ユルケヴィチ(Andriy YURKEVYCH)
演出:ドミトリー・ベルトマン(Dmitry BERTMAN)
美術:イゴール・ネジニー(Igor NEZHNY)
衣裳:タチアーナ・トゥルビエワ(Tatiana TULUBIEVA)
照明:デニス・エニュコフ(Denis ENYUKOV)
振付:エドワルド・スミルノフ(Edvald SMIRNOV)
演出助手:ガリーナ・ティマコーワ(Galina TIMAKOVA)
舞台監督:髙橋尚史
キャスト
タチヤーナ:エフゲニア・ムラーヴェワ(Evgenia MURAVEVA)
オネーギン:ワシリー・ラデューク(Vasily LADYUK)
レンスキー:パーヴェル・コルガーティン(Pavel KOLGATIN)
オリガ:鳥木弥生
グレーミン公爵:アレクセイ・ティホミーロフ(Alexey TIKHOMIROV)
ラーリナ:森山京子
フィリッピエヴナ:竹本節子
ザレツキー:成田博之
トリケ:升島唯博
隊長:細岡雅哉
合唱指揮:三澤洋史
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
芸術監督:大野和士

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