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「異邦人たちのパリ展」から [パリの敵は東京で!]


「異邦人たちのパリ展」から、(↓全体についてはこちら)
http://blog.so-net.ne.jp/turlinco/2007-03-07
興味深かった作品をひとつ!


モンパルナス(Montparnasse)
1929年 35mmモノクロ映像(16分)
ウジェーヌ・デスロー(Eugene Deslaw)1900~1966


映像作品としての芸術性というよりは、
「芸術家目線のパリ」という事が作品の芸術性を高めていると思いました。

1929年という時代を考えると、
モンパルナス通りに意外と車の行き来が激しいのに驚きましたが、
ほとんどが乗用車で、
荷物は、まだ荷馬車が運んでいたようです。
立ち並ぶ絵画のキオスクにたむろする人達や、
絵を新聞紙にくるんで持ち運ぶ様子など、
当時の人達がどの様に絵を扱っていたかが分かります。

日常的な風景としては、
いまだ、やぎのミルク売りがいて、
5、6頭の黒いやぎを縄につないだ青年が、
その場でブリキの容器に乳を絞って売り歩くところや、
車をかわしながら大通りを横切る人たち、
当時主な情報源だった新聞がキオスクに積上げられた様子など、
ヘミングウェイが描いた20年代がそのままそこにある感じでした。

モンパルナス界隈では、
1912年に出来た「ヴァヴァン通りのアパート」、(↓以前ここで書きました)
http://blog.so-net.ne.jp/turlinco/2007-02-06
アールデコの素晴らしい建物ですが、
お気に入りだったのか、可愛くて仕方がないといった感じで、
撫で回すようなカメラワークで撮り続けています。

この展覧会に絡めたところでは、
終盤にカフェで寛ぐフジタが捉えられていますが、
先に見た自画像や、
図録に載っている1913年渡欧当時の写真と比べると、
43歳!
パリの芸術家が板に付いた、
なかなか魅力のあるいい大人と見受けました。

そして最後は、
今でも現役のモンパルナスの4大カフェ、(↓以前ここで書きました)
http://blog.so-net.ne.jp/turlinco/2007-01-27
「ル・ドーム」 「ラ・ロトンド」 「ル・セレクト」 「ラ・クーポール」の看板を、
舐めるようにつないで 「FIN」、
開店した順になっていたように思いました。

1920年代のパリに身も心も吸い取られた、
まさに「釘付け」の16分間でした。


実は、今回密かに期待していた映像があって、
同じく1929年、マン・レイによる「サイコロ城の秘密」という20分程の映画なのですが、
残念ながら関連企画でも見当たりませんでした。

これは、
パリで芸術家を集めたサロンを開いていたシャルル&マリー=ロール・ド・ノアイユ子爵夫妻が、
南フランスに造った別荘を紹介する形でマン・レイに撮らせた作品で、
その建物は1920年代のパリを代表する建築家の一人、
R・マレ・ステヴァンの設計です。(↓以前ここで書きました)
http://blog.so-net.ne.jp/turlinco/2007-01-22
ずいぶん前に廃墟になった様子を雑誌か何かで見た事がありましたが、。
現在では、その重要性が評価されたのか修復されて、見学も出来るらしいです。
また、夫妻のパリの邸宅は、
現在は面影を残した形で「バカラ美術館」として再生されています。(↓以前ここで書きました)
http://blog.so-net.ne.jp/turlinco/2007-01-31

東京辺りで今後の上映予定をご存知の方はご一報頂けると嬉しいです。


タグ:アート パリ
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